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研究成果

国際標準模式地の審査状況について ~地層「千葉セクション」の認定へ向けて~

2017年11月14日
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国際地質科学連合(IUGS)の作業部会で、10月から11月にかけて、地質時代の「前期‐中期更新世境界(注1)」の国際標準模式地(GSSP、注2)の候補を選ぶ投票が行われた。その結果、千葉県市原市の地層「千葉セクション」が選出され、IUGS内の上部の委員会に答申されることとなった。

今後、IUGS内で、答申を認めるかどうかの審査が、3段階にわたり行われる。

審査の結果、千葉セクションがGSSPになった場合には、現在「中期更新世」と呼ばれている約77万年前~約12万6千年前の地質時代の名称が「チバニアン」になる。

11月12日、国際地質科学連合(International Union of Geological Sciences、IUGS)の中の作業部会(下部−中部更新統境界作業部会)で、「前期‐中期更新世境界」のGSSP候補を選ぶ投票が終了しました。その結果、3つの候補の中から千葉県市原市の地層「千葉セクション」が選出され、IUGS内の上部の委員会に答申されることに決まりました。

「千葉セクション」をGSSPに提案する申請書は、日本の研究チーム(注3)が今年6月7日に作業部会に提出していました(文献1)。「千葉セクション」の他には、イタリア南部のモンタルバーノ・イオニコ(Montalbano Jonico)、同じくイタリア南部のヴァレ・デ・マンケ(Valle di Manche)の地層をそれぞれ支持するグループが申請書を提出していました。

作業部会での約3か月の討論期間の後、10月10日からの1カ月間、電子メールにて投票が行われ、その結果、「千葉セクション」が最も多くの票を集め、GSSP候補として上部の委員会に答申されることになりました。

今後は、図3のようなステップで答申を認めるかどうかの審議が行われ、最終的にIUGSの投票で60%以上の得票があれば、「千葉セクション」が前期‐中期更新世境界を示すGSSPとなります。GSSPとなった場合、地質時代の中期更新世(約77万年前~約12万6千年前)が、「千葉の時代」を意味する「チバニアン(Chibanian)」と名付けられます。なお、IUGSの投票は早くても来年以降の見込みです。

文献

文献1: 国立極地研究所・茨城大学ほかプレスリリース『千葉県市原市の地層を地質時代の国際標準として申請~認定されれば地質時代のひとつが「チバニアン」に』 http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20170607.html

図1: 千葉セクション(千葉県市原市)の位置。

図2:市原市田淵の養老川岸の地層「千葉セクション」。

図3:GSSPの審査ステップ。

注1 前期‐中期更新世境界: 今回の審査で選ばれるGSSPは、「前期−中期更新世境界」の時代(約77万年前)に堆積した地層であり、正式には「下部−中部更新統境界GSSP」と呼ばれる。ここで、「更新統」とは、地質時代の「更新世」に堆積した地層のことで、同様に、「下部更新統」は「前期更新世」に、「中部更新統」は「中期更新世」にそれぞれ対応している。

注2 GSSP: Global Boundary Stratotype Section and Point(国際標準模式層断面及び地点。国際標準模式地ともいう)。IUGSは、それぞれの地質時代の境界を地球上で最もよく示す地層を1つだけ選び、GSSPに認定している。GSSPは現在、世界に68カ所あるが、日本にはまだない。

注3 日本の研究チーム: 茨城大学の岡田誠教授、国立極地研究所の菅沼悠介准教授、千葉大学の亀尾浩司准教授、国立科学博物館の久保田好美研究員を中心とする22機関32名からなる。詳細は文献1を参照のこと。

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