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川村賢二准教授、阿部彩子客員教授、大畑哲夫元特任教授が「2020年度日本雪氷学会賞」を受賞

2020年9月30日

気水圏研究グループの川村賢二准教授と阿部彩子客員教授が「2020年度日本雪氷学会賞(学術賞)」を、国際北極環境研究センターの大畑哲夫元特任教授が「2020年度日本雪氷学会賞(功績賞)」を受賞しました。

「学術賞」は、雪氷学の発展に貴重な貢献を与える研究を行った正会員に、「功績賞」は、日本雪氷学会の運営発展、あるいは雪氷学の発展に、著しい貢献をした正会員に贈られる賞です。

2020年11月16日にオンライン開催される雪氷研究大会にて、授賞式と受賞記念講 演会が執り行われる予定です。

川村賢二 准教授

受賞件名:氷床アイスコア気体成分の分析による過去数十万年の気候変動とそのメカニズムの研究

川村賢二 准教授

川村賢二 准教授

選定理由:(「雪氷」7月号から抜粋)
川村賢二氏は、南極ドームふじアイスコアの大気成分の分析を基礎として、両極で掘削された複数のアイスコアの比較解析や、気候モデルと合わせた解析を積極的に展開し、過去数十万年スケールの温室効果気体濃度と気候変動及び地球気候システムの理解に多大な貢献を果たしてきた。アイスコア中大気成分の酸素・窒素濃度比を用いて数十万年スケールの精密年代を決定した成果は、氷期間氷期サイクルに伴う環境変動の正確なタイミングの議論や、両極を含む複数のアイスコアの正確な対比を可能にし、その後も多数の成果につながった。さらに、ドームふじ氷床コアの共同研究をベースに、南極やグリーンランドにおける他の氷床アイスコア研究との国際連携、さらに気候モデリングを含む様々な分野との学際的研究を実施してきた。特に近年は、南極の次期深層掘削プロジェクトを中心的立場で進め、大規模な学際的研究計画をプロジェクトリーダーとして率いており、その成果に注目が集まっている.以上のように、氷床アイスコアの気体成分を用いた気候システムの研究を通じて、国内外の雪氷学・気候学の発展に貴重な貢献をしており、学術賞に値する。

阿部彩子 客員教授

受賞件名:数値気候・氷床モデルを用いた地球規模環境変動の研究

阿部彩子 客員教授

阿部彩子 客員教授

選定理由:(「雪氷」7月号から抜粋)
阿部彩子氏は、1990年代初頭に氷床モデルを開発した世界的先駆者の一人であり、以来当該研究分野を牽引してきた。特に氷床を地球気候システムの重要な要素と位置づけ、大気・海洋・地殻等の数値モデルと結合した大規模な数値実験によって大きな成果を挙げている。気候変動に関する世界的な研究の取り組みに、日本の代表として重要な貢献を果たし、これまでに幾度もIPCC報告書の代表執筆者を務めた他、氷床や古環境など各種の数値モデル相互比較プロジェクトにおいて主要な役割を果たしている。一方で、南極ドームふじ氷コアの気候学的解析を担うなど、国内の雪氷研究コミュニティへの貢献も大きい。次期深層掘削地点の選定において数値実験で支援する他、分野統合型の南極・北極大型研究プロジェクトにおいて雪氷分野を牽引する立場にある。以上のように、氷床を主とした気候システムの研究を通じて、世界と日本の雪氷学・気候学の発展に貴重な貢献をしており、学術賞に値する。

大畑哲夫 元特任教授

受賞件名:雪氷気候システム科学と北極研究の発展及び学会運営に果たした多大な貢献

大畑哲夫 元特任教授

大畑哲夫 元特任教授

選定理由:(「雪氷」7月号から抜粋)
大畑哲夫氏は、雪氷学に新たな分野「雪氷気候システム科学」を切り拓いたパイオニアである。1980年代以降、大気—雪氷相互作用の研究を開始し、日本における雪渓風の発見、南極カタバ風の形成・維持機構に関する新しい知見、さらにネパールの氷河を含む様々なスケールで雪氷が果たす気候への影響の解明といった重要な学術的貢献を行った。その後,大気−雪氷相互作用の研究を地球規模のスケールで実施するため、中国チベット高原での積雪・凍土に関わる気候システム研究を推進した。1996年からは、シベリアの凍土地帯で積雪・凍土が気候システムに果たす役割に関する研究(GAME-Siberia)をリードし、東シベリア・レナ川流域における地中の温度が観測史上最高を記録したことから、世界に先駆けて急激な永久凍土融解に警鐘を鳴らした。2000年までに同氏が確立した北極海から永久凍土南限域のモンゴルに至る南北縦断観測ネットワークは、その後約20年間にわたり多くの研究者に利用されるなど後進の育成に貢献した。このように、雪氷学のみならず、水文学、生態学、及び気象・気候学を統合して、大気-雪氷相互作用に関する研究分野を発展させ、新たな雪氷気候システム科学を築き上げた。さらに、学会運営、国際的な雪氷学の発展にも大きな貢献を果たした。大畑氏による雪氷学への学術的貢献と、国内および国際的な雪氷学の発展への貢献、さらには日本雪氷学会の運営に対する多大な貢献は功績賞に値する。

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