大村纂顧問が国際北極科学委員会(IASC)メダルを受賞しました
2021年3月24日
極地研の大村纂顧問(おおむら・あつむ、スイス連邦工科大学チューリッヒ校名誉教授)が、国際北極科学委員会(IASC)の今年の「IASCメダル」を受賞しました。
IASCは、北極域および全球的な科学研究の推進を目的として1990年に設立された非政府の国際組織で、現在、日本を含む23か国の機関が参加しています。IASCは政府間組織である北極評議会のオブザーバーでもあり、連携を取りながら活動を行っています。「IASCメダル」は、IASCが毎年1名選出し授与しているもので、北極域の理解に対して卓越かつ継続的な貢献をした人に与えられます。
大村顧問は1965年に東京大学理学部地理学教室を卒業後、カナダのマギル大学を経てスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)に着任し、2007年からETHの名誉教授となりました。気候学・雪氷学の世界的権威で、2005年から2008年に国際雪氷学会(IGS)の会長を務めるなど、広く研究コミュニティに貢献してきました。日本においても、国際北極研究シンポジウム(ISAR)のサイエンスアドバイザー、北極域研究推進プロジェクト(ArCS)の評議会議長などを歴任し、研究者への助言や支援を続けています。
大村顧問はアジア出身として初めての受賞者となりました。3月19日から開催されている北極科学サミット週間(ASSW2021)の中で、大村顧問の受賞記念講演が予定されています。
受賞理由
For outstanding achievements in understanding complex climate and glacier relationships, global energy budgets, and thermal energy flow in the Arctic; and for excellence in program building, international collaborations, and mentorship in the cryospheric sciences.
気候と氷河の複雑な関係、地球規模のエネルギー収支、北極の熱エネルギーの流れの理解における顕著な業績。雪氷圏科学のプログラム構築、国際協力、指導者としての功績。