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菅沼悠介准教授が地球環境史学会貢献賞を、大藪幾美特任研究員が同奨励賞を受賞

2022年2月18日

地圏研究グループの菅沼悠介准教授が2021年度地球環境史学会貢献賞を、気水圏研究グループの大藪幾美特任研究員が同奨励賞を受賞しました。

「貢献賞」は、地球環境史の解明に対し優秀な貢献をした正会員に、「奨励賞」は、地球環境史の進歩に寄与する優れた研究をなし、なお将来の発展が期待される正会員に贈られる賞です。
2022年10月に表彰式が行われる予定です。

菅沼悠介准教授

受賞研究テーマ:古地磁気および宇宙線起源放射性核種を用いた第四紀古環境変動研究

受賞理由:(地球環境史学会ウェブサイト「2021年度地球環境史学会各賞選考理由」より抜粋)

菅沼悠介会員は、古地磁気や宇宙線起源放射性核種である10Beなどを用いた研究により、地磁気逆転現象や古環境変動の解明に繋がる数々の重要な成果をもたらしてきた。特に、我が国初のGSSP(国際境界模式層断面とポイント)の提案活動において千葉セクションGSSP提案書の責任執筆者として主導的役割を果たし、チバニアン承認へ導いた。

一方、南極大陸における過去の氷床量変動を明らかにするために、東南極海岸地域における氷河性堆積物などの調査や、内陸部における文字通り前人未踏地域の調査を幾度となく敢行することで、南極大陸における氷床量変動の一端を明らかにした。

これらの研究成果による貢献に加え、国内外の学協会や学術誌の運営に不可欠な貢献をしてきた。いずれにおいても地球環境史の研究に対する貢献は多大である。よって、菅沼悠介会員に地球環境史学会貢献賞を授与する。

大藪幾美特任研究員

受賞研究テーマ:極域アイスコアの先端的分析に基づく氷期-間氷期の環境変動の解明

受賞理由:(地球環境史学会ウェブサイト「2021年度地球環境史学会各賞選考理由」より抜粋)

大藪幾美会員は、極域のアイスコアの空気や微粒子を分析し、地球環境の変遷やそのメカニズムにかかる研究を行ってきた。従来のデータの質や精度、分解能が不十分であり理解の妨げとなっていた分野に、斬新な手法と並外れた忍耐力によって取り組み、高品質なデータを持って国内外の共同研究をリードし、数々の成果を挙げてきた。

大藪会員は、アイスコアを昇華させて残った数万個の微粒子を電子顕微鏡(SEM-EDS)により分析し、形態とサイズ、構成元素のデータを得て、氷の融解水のイオン濃度データと組み合わせ、ダストの精密な定量比較を初めて可能にした。その結果、数々の新知見により古環境復元研究に大きく貢献した。グリーンランドコアの分析による両極比較や、南極浅層コアを用いた過去の降水量復元も行ってきた。

また、少量の氷から空気を抽出・分割し、同一の氷試料から8種もの気体成分を測定する手法を確立した。従来の方法と比較して試料量を激減させ、かつ世界最高レベルの測定精度を達成した。

大藪会員の顕著な成果は、強い好奇心と独創性、高度な開発研究能力、そして多大な努力が結実した結果であり、今後の成長も大いに期待されることから、地球環境史学会奨励賞を授与する。

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