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北極海氷分布予報

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2018年拡大期予報

2018.09.10 木村詞明, 蕭喬仁, 羽角博康

今年9月10日から11月30日までの海氷分布
図1:今年9月10日から11月30日までの海氷分布。白い範囲が密接度15%以上の海氷域
  • 北極海の海氷域は、まもなく拡大をはじめます。
    海氷域は昨年とほぼ同じ速さで拡大していく見込みです。
    ロシア側の北東航路では10月10日頃、多島海を除くカナダ側の沿岸では10月22日頃に海氷域が沿岸に達し、航路が閉じるでしょう。
10月1日の予測海氷分布
11月1日の予測海氷分布
11月30日の予測海氷分布
図2:10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布

北極海の海氷域は最小期を迎えており、まもなく拡大をはじめます。今後の海氷域の拡大は昨年とほぼ同じ速さで進行します。ロシア側沿岸域では昨年より1週間遅い10月10日頃、多島海を除くカナダ側では昨年より約2週間早い10月22日頃に海氷域が陸地に達し、航路が閉じるでしょう。


北極海の海氷面積は減少時と逆のパターンで増加していく傾向があり、早く海氷がなくなった海域(年)は、秋に海氷に覆われるのが遅くなります。そのため、ある場所での海氷のなくなる早さと秋の特定の日の海氷密接度との間には相関があります(“昨年の秋予報をご参照ください)。この要因はいくつか考えられますが、早く海氷がなくなると海面がより温められやすく、秋の結氷が遅くなることがそのひとつと考えられます。そのため9月はじめの海水温と10月以降の海氷密接度の間にも相関関係が見られます。

ここの関係をもとに、今回の予測は蕭(2018:東京大学工学部卒業論文)の手法に基づき、ロジスティック回帰によって海氷分布を予測しました。ここでは、海氷密接度(被覆率)が15%以上の場所を海氷域(海氷有り)と定義し、海氷の有無を予測しています。

この予測には3月3日から8月26日までの期間の海氷の無かった日数と、9月以降の日の海氷の有無との関係を用いました。この関係を知るために 2003年から2017年までの13年間(データの揃わない2011, 2012年を除く)のデータを用いています。蕭(2018)では気温データを用いることによって予測の正解率が上昇することがわかっていますが、今回の予測では海氷密接度データ(海氷の無かった日数)のみを使用しました。