バイオロギングによる海鳥調査チーム

ベーリング海・セントジョージ島における海鳥調査(2013.8.15)

海鳥の繁殖するセントジョージ島の断崖

調査の主な対象であるハシブトウミガラス(左)とアカアシミツユビカモメ(右)

高山植物の咲き乱れる丘の上でひと休み(とても天気のよい時の写真)

ふだんの天気のもとでの調査風景。撮影: U.S. Fish & Wildlife Service Matt Krostmann氏

島に住むホッキョクギツネ。時々海鳥を捕っては食べている。

現在私たちは3名で、海鳥の行動・生態調査をしております。調査の様子を現地から報告いたします。

セントジョージ島は、ベーリング海のほぼ中央にある周囲約50kmの小さな島です。この島の人口は約80名とわずかですが、海鳥は12種類、計250万羽が繁殖しており、世界最大規模の海鳥の楽園となっています。私たちはこの島で繁殖する海鳥にデータロガーとよばれる小型機器を取り付け、かれらの行動を詳しく記録する調査をしています。その記録を分析して、どこへ餌をとりに行っていたのか、どのくらい深く潜っていたか、何時間餌とりに出かけていたのか、といった海鳥の生態情報を調べています。

海鳥たちは、島の周囲を取り囲む断崖に巣をつくっています。そこへ毎日約10kmの道のりを歩いて往復しながら、データロガーの装着と回収を繰り返しています。

夏の季節の天候の特徴は、気温こそ10℃ほどあるものの、ほぼ毎日濃い霧です。それに加えて風が吹くと、崖の上で鳥を待っている間、とても寒く感じます。週3便あるアンカレッジからの飛行機も、濃い霧のためよく欠航しています。このような天候ですが、鳥たちはそれほど苦にする様子もなく、毎日巣に帰ってきて、ヒナを育てています。ごくまれに晴れたときには、ベーリング海の雲海の上にそびえるがけと、そこを埋めつくす海鳥の巣、そしてがけ全体から響きわたってくる海鳥の声を全身で感じることができます。

長かった調査もあっという間に終盤です。島の自然を楽しみ、島に住む人々との交流を大切にしながら、最後まで事故の無いよう気をつけてすごしたいと思います。