本事業について
正式名称
グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス(GRENE)事業
北極気候変動分野
「急変する北極気候システム及びその全球的な影響の総合的解明」
代表機関:国立極地研究所
参画機関:海洋研究開発機構
事業期間:2011年〜2016年
GRENE事業とは
2010年6月に閣議決定された新成長戦略で「グリーン・イノベーションによる環境 ・ エネルギー大国戦略」が掲げられています。また、総合科学技術会議が2010年12月に取りまとめた「科学技術に関する基本政策について」に対する答申でも、エネルギーと気候変動問題に対応する「グリーン・イノベーション」を大きな柱の一つとして位置づけられました。
それらを受けて、文部科学省が2011年度から開始したのが「グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス」(GRENE)事業です。大学や研究機関が戦略的に連携し、世界最高水準の研究と人材育成を総合的に推進することを目指しました。
GRENE事業では、北極気候変動分野のほかに、環境情報分野、植物科学分野、先進環境材料分野が設置されています。
北極気候変動分野の目的
北極は、地球温暖化による平均気温の上昇が最も大きく、地球上において気候変動による影響が最も顕著に表れると予測される地域のひとつです。また北極における変化は、大気・海洋循環の変化や雪氷圏変化などを通して、全球的な気候システムにも大きな影響をもたらす可能性があることから、気候変動のメカニズム解明のため、北極における継続的な地球観測を実施することが非常に重要です。
我が国への影響という観点からは、特に最近の北極振動の振舞いに伴う異常気象の発生などによりその重要性が改めて認識されるとともに、海氷減少に伴う北極航路の活用など経済活動の面からの関心も高まっています。また北半球に位置し、しかも気候・環境的にも北極域・高緯度の影響を強く受けている日本としてはより組織的な北極圏研究が必要です。
北極気候変動分野では、上記のような我が国にとって重要な研究課題の解明に、分野横断的かつ総合的に取り組むことを目的としました。
「急変する北極気候システム及びその全球的な影響の総合的解明」のスタート
このような背景からGRENE北極気候変動研究事業が、2011年度にスタートしました。4つの戦略研究目標を掲げ、目標を達成するために7つの研究課題を公募で選びました。
本事業最大の特徴は分野を越えた連携です。北極域は広く、部分的な観測だけでは北極域全体について分かるものではありません。これまで大学や研究機関のグループがそれぞれの専門分野について観測や研究を進め、大きな成果を挙げてきました。しかし、急変する北極の現状を捉え、複雑な北極の気候システムを解明し、全球的な影響を予測するためには、分野横断的かつ総合的な取り組みが不可欠です。国内39機関からさまざまな分野の研究者約300人が参加、そして諸外国の研究機関と国際的な協力関係のもと、環北極総合観測を実施し、北極域全体の変化を把握しました。
4つの戦略研究目標
- 北極域における温暖化増幅メカニズムの解明
- 全球の気候変動及び将来予測における北極域の役割の解明
- 北極域における環境変動が日本周辺の気象や水産資源等に及ぼす影響の評価
- 北極海航路の利用可能性評価につながる海氷分布の将来予測
観測・活動が行われた地域
現在の北極気候変動研究では積雪や凍土、土壌と植生の変化、熱や水の循環、温室効果気体の変化、海水減少の実態などの観測に偏りがあります。
GRENE北極気候変動研究事業では、今まで観測データがなかった地域での観測や同一手法による複数年に渡る継続的な観測等を行いました。
北極域に国土を持たない日本だからこそできる広域多目的観測、陸・海・空の様々な場面が研究対象となり、国際的にも注目を浴びています。
構成
参加機関
共同研究に係る協定に基づいて国内の39機関が参加。(事業期間中に関係者が在籍した時点の部署名で記載しています。)
大学・高専 26校
北見工業大学(工学部) 北海道大学(低温科学研究所、地球環境科学研究院、理学院、水産科学研究院、北方生物圏フィールド科学センター)北海道教育大学 東北大学(理学研究科) 宮城教育大学 筑波大学(計算科学研究センター) 千葉大学(工学研究科、理学研究科) 東京大学(大気海洋研究所、工学系研究科、理学系研究科、新領域創成科学研究科) 東京海洋大学(海洋科学技術研究科、先端科学技術研究センター) 東京工業大学(総合理工学研究科) 東京農工大学(工学部) 新潟大学(自然科学系)富山大学(理工学研究部、極東地球研究センター) 名古屋大学(生命農学研究科、環境学研究科、年代測定総合研究センター、地球水循環研究センター) 三重大学(生物資源学研究科) 京都大学(農学研究科、フィールド科学教育研究センター) 大阪大学(工学研究科) 岡山大学(自然科学研究科) 九州大学(応用力学研究所、理学研究院) 兵庫県立大学(シミュレーション学研究科) 東海大学(生物理工学部) 国際基督教大学(教養学部) 工学院大学(総合研究所) 常葉大学(社会環境学部) 釧路工業高等専門学校 苫小牧工業高等専門学校
独立行政法人:7機関
宇宙航空研究開発機構(地球環境観測研究センター) 海洋研究開発機構(統合的気候変動予測研究分野、地球表層物質循環研究分野、地球環境研究開発センター、アプリケーションラボ、地球情報基盤センター、気候変動リスク情報創生プロジェクト) 理化学研究所(計算科学研究機構) 国立環境研究所(地球環境研究センター、化学環境領域) 防災科学技術研究所(雪氷防災研究センター) 森林総合研究所(国際連携推進拠点・国際森林情報推進室) 産業総合研究所(環境管理技術研究部門)
大学共同利用機関法人:1機関
総合地球環境学研究所
官公庁:1機関
気象庁気象研究所(気候研究部、海洋・地球化学研究部、環境・応用気象研究部)
非営利団体・民間企業 4機関
シップ・アンド・オーシャン財団 北日本港湾コンサルタント(株)(株)ウェザーニューズ NPO法人雪氷ネットワーク
運営会議委員
平成28年3月31日現在
五十嵐 保 | 一般財団法人 リモート・センシング技術センター |
特任主任研究員 |
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池田 元美 | 北海道大学 | 名誉教授 |
泉山 耕 | 北日本港湾コンサルタント株式会社 | 上席研究員 |
井上 元 | 名古屋大学太陽地球環境研究所 | 客員教授 |
今岡 啓治 | 山口大学大学情報機構メディア基盤センター | 准教授 |
神沢 博 | 名古屋大学大学院 環境学研究科 | 教授 |
神田 啓史 | 国立極地研究所 | 特任教授 2013年3月まで |
鬼頭 昭雄 | 筑波大学 | 主幹研究員 |
高橋 修平 | 北海道立オホーツク流氷科学センター | 所長 |
中村 卓司 | 国立極地研究所 | 副所長 / 宙空圏グループ教授 |
中村 尚 | 東京大学 先端科学技術研究センター | 教授 |
深澤 理郎 | 独立行政法人 海洋研究開発機構 | 執行役 ※プロジェクトサブマネージャー |
福地 光男 | 北海道大学 | 特任教授 / 東京オフィス所長 |
藤吉 康志 | 北海道大学 低温科学研究所 | 特任教授 |
増沢 武弘 | 静岡大学理学部 | 特任教授 |
安成 哲三 | 名古屋大学地球水循環研究センター | 特任教授 2013年3月まで |
山内 恭 | 国立極地研究所 | 副所長 / 気水圏研究グループ 教授 ※プロジェクトマネージャー |
和田 智明 | 神戸市立青少年科学館 | 館長 |
藤井 理行 | 国立極地研究所 | 特任教授 ※プロジェクトマネージャー代理 |