昭和基地から25kmほど離れたラングホブデの袋浦という場所にペンギン観測用に建てられた小屋が3棟あります。そのうちの2棟の扉がブリザードで飛ばされていることが判明し、ただちに扉修理の計画が実行されました。
先日までブリザードが続き、明日からはまた新たなブリザードが昭和基地に接近するという日でした。今日という日、日帰りで作業を完了しなければ今後いつ修理に行けるかわかりません、小屋内に雪がたまり使用できなくなるとか、ひどい場合には風が吹き込んで小屋が倒壊するかもしれません。
昭和基地から約3時間の道のりを凍った海の上をひたすら雪上車で移動しました。
ブリザード明けの出発だったため、凍った海の上には新たに積雪もあり、大きなドリフト(吹きだまり)が進路を塞ぎます。雪上車はそんなドリフトを慎重に乗り越えながら進みます。昭和基地南約10km付近には夏の間に通ったしらせの痕跡があり、凍った海面はおおきな剣山のようにゴツゴツに乱れています。南極の雪上車は雪の上だけでなく、氷面にも対応できるので、そんな険しい海氷面でもゆっくり走れば大きく揺れることもなく力強く移動していきます。15kmほど南下したあたりからは、ようやく海氷面も平坦になり、スムーズに走行できました。
袋浦に到着し、ただちに建築担当隊員の指示を聞きながら手分けして作業を行い、計画されていた予定時間より早く修理作業を終える事ができました。隊員たちは節約できた時間を利用して、さらに離れた小屋までのルートやハムナ氷瀑(ひょうばく)までのルートの確認なども行なって、無事に昭和基地へ帰還しました。
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