Arctic Environment Research Center

北極ニーオルスンNOW!! ~ニーオルスン基地から情報を発信します~

ニーオルスン基地を利用する国立極地研究所の研究者等からのメッセージをご紹介します。

ニーオルスンからのメッセージ

2023.8.11

オスロで1ヶ月ぶりに大きな木や虫を見ることができました。日本へは待ち時間も含めて20時間以上かかるため、冷蔵のサンプルが温かくならないよう対策をして飛行場に行きます。1ヶ月間ご覧頂きありがとうございました。

2023.8.10

スバールバル大学のオフィスに残置した荷物が他の利用者の迷惑にならないよう整理したあと、オスロ行きの飛行機に乗りました。離陸直後、スバールバルサテライトステーションの右手に今回調査した谷が見えました。

2023.8.9

ロングイヤービンで来年の調査で使用するものをパッキングし、スバールバル大学(UNIS)にある国立極地研究所のオフィスに置きに行きました。その後、今回のロングイヤービンの調査の際に撮影した画像と情報から、来年以降の調査に使えそうな場所がないか確認します。

2023.8.8

とうとう最後の野外調査です。目的の植物を採取していきます。湿地にはエゾワタスゲが、乾燥地には今にも落ちそうなチョウノスケソウの綿毛がついていました。雨が降ったせいかキノコもたくさん目にしました。ロングイヤービンも日に日に秋が深まっていきます。

2023.8.7

8月7日は午前11時からチェコの研究者と野外調査に行く予定でしたが、出発直前に雨が降り始め、翌日に延期となりました。そこで、来年の夏に使用する機器の整理や帰国のための準備をしました。初めて写真を1枚も撮らない日でしたので、ニーオルスンで撮影した写真をいくつかご紹介します。

2023.8.6

8月6日には、7月初旬にロングイヤービンで植物を採取した場所に、現在の植物の状況を確認に来ました。こちらもヤナギは紅葉が進み、種ができ始めていましたが、ムカゴトラノオは紅葉がそれほど進んでおらず、花が咲いている状況でした。来年以降も調査地として利用できそうなので、帰国後にメンバーと相談するための情報を収集しました。

2023.8.5

ロングイヤービンの3か所を車で1時間ごとに移動します。チェコの研究者が、藻類の光合成活性を調べている間に、我々は現地の植物の組成を調べたり、目的の植物のサンプリングを行います。標高の高い場所では、石の表面を地衣類が覆っていました。

2023.8.4

今にも雨が降りそうな天気だと思っていたら、短い時間に結構な雨が降りました。雨があまり降らない地域なので、珍しい現象でした。明日から始める共同研究の最終打ち合わせのため、雨の合間にロングイヤービンにあるチェコ共和国の基地に行きました。

2023.8.3

貨物船が到着したため、帰国の出発間際に久しぶりに新鮮な野菜を口にすることができました。ニーオルスンを予定通り出発し、ロングイヤービンに向かいます。サンプルや調査器具を持っての移動のため、一苦労です。

2023.8.2

8月2日の午前中は雨がぱらつきましたが、晴れ間が見え始めたので、昼食は取らずにフィールド作業に向かいます。雪渓の植物の成長度合いを確認したのち、柵内のタイムラプスカメラなどの最終調整、そして、子供のトナカイが柵内に入らないようにロープを張りました。ホッキョクグマに遭遇することなく無事にニーオルスンでの野外作業を終えることができました。

2023.8.1

8月1日はフィールドに出かける予定でしたが、雨のため室内での作業に切り替えました。今回光合成測定に使用したムカゴトラノオを葉、茎、むかご、地下部(根)に切り分け、乾燥後に重量を測定します。重量測定だけで5時間程度かかりました。

2023.7.31

植物たちは秋の装いを見せ始めました。チョウノスケソウやジンヨウスイバは花が終わり、種をつけ始めました。キョクチヤナギも紅葉し始めています。

2023.7.30

今回の滞在で初めて雨が降りました。一瞬虹が見えました。

2023.7.29

野外調査に行くと、鳥の縄張りを横切らなければいけないことがあります。今回はトウゾクカモメの仲間の縄張りに入ってしまいました。なるべくストレスを与えないよう急ぎ足で通り抜けます。

2023.7.28

ニーオルスンには、数キロメートルですが車道があります。調査地が車道から近いところでは、基地にある自転車を利用して移動します。それ以外はひたすら徒歩で移動します。氷河が溶けた水は赤褐色の土と一緒に川を流れています。

2023.7.27

ニーオルスンでの植物の光合成測定が終わりに近づいてきました。7月27日はムカゴトラノオを測定しました。初めの頃に比べるといろいろと工夫され、スムーズに測定できるようになってきました。

2023.7.26

基地から7kmほど離れた湿地に設置していた流量計を回収しに行きました。ホッキョクグマの目撃情報が多いため、最も安全と思われる100mほどの崖の上を通るルートで移動します。途中、崖で営巣するパフィンと遭遇しました。

2023.7.25

数年に一度くらいの割合で、動物が近寄ってくることがあります。今回は若いメスのトナカイがこちらの様子を伺いに来ました。

2023.7.24

滞在している基地は2019年から利用が始まった新基地です。国立極地研究所は1991年からニーオルスンに基地を保有しており、旧基地の玄関に掲げられていた銘板を回収しました。28年間、日本の研究者を見続けてくれた銘板、日本へ持ち帰って大切に保管されます。

2023.7.23

雪渓近くの植物たちがどの程度大きくなったのか確認します。その後、引き続きCO2センサーのの校正作業を行いました。イタリアの研究者たちが類似の研究をしたいとのことで視察に来ました。海外の研究者と気軽に共同研究の話ができるのは、ニーオルスンの利点の一つです。

2023.7.22

土壌中のCO2濃度モニタリングに使用しているCO2センサーのメンテナンスにやってきました。パソコンを機器に繋ぎ、状況を確認・調整します。若い雌のトナカイがこちらの様子を伺っていました。

2023.7.21

7月21日は植生のモニタリングです。以前は川から離れていた場所でしたが、温暖化の影響で氷河や凍土が溶けて増水し、川岸がすぐ近くに迫ってきました。近い将来この場所も川底に沈むかもしれません。植物にとっても厳しい状況です。

2023.7.20

筑波大学の先生が調査を終了し、晴天のなか、日本に戻ります。その半日後、雲が流れてきて基地一帯は霧に覆われました。出発が半日遅れていたら飛行機は飛べなかったと思います。

2023.7.19

ベルギー、ゲント大学の研究者からスノーフェンスの調査地を使って良いとの返事をもらえたので、調査する場所を選定しにきました。2024年度から、ゲント大学との本格的な共同研究を速やかに実施できるように植物の状況などを入念に調べます。

2023.7.18

7月18日は国立極地研究所の基地内で植物の光合成を測定しています。基地の周囲は不定期に鳥がやってきます。こちらはだいぶ大きくなったカオジロガンの雛です。

カオジロガンの親子です。この鳥は10年以上継続してモニタリングされており、すべての鳥に足環がついています。顔が白いのが親。雛ももうしばらくすると全て捕まえられて、足環をつけられます。

2023.7.17

ニーオルスンでは氷河が後退しており、夏になると氷河から解放された地面が拡大しています。植物はそこに侵入すべく分布を広げています。今日はその植物と土壌微生物との関係の調査をするため、氷河の末端付近に来ました。石だらけですが、ごくわずかに植物が生育しています。

2023.7.16

植物の光合成測定は順調に進み、光合成特性の様子がわかってきました。さらに詳しく測定するため、再度植物を採取します。

植物の研究にとって、動物に植物を食べられることは大問題です。そこで動物が入られない柵を野外に設置しています。しかし、その柵の中にこどものトナカイが! 柵の中の植物は無事でしたが、対策を講じる必要があります。

2023.7.15

北極は、今後降水量が増えるという予測があります。ベルギーのゲント大学がリードするプロジェクトでは、積雪がツンドラ生態系に与える影響を調べています。写真のフェンスは、スノーフェンスと呼ばれ、人為的に雪だまりを生じさせ、積雪量を増やすものです。

積雪量の増加が植物病原菌に与える影響をスノーフェンスで調べることができそうか、下調べに来ました。ゲント大学の研究者の許可が得られれば、今年から共同研究を開始できます。

ここ数年、ホッキョクグマがニーオルスン付近で頻繁に目撃されるようになりました。今年も毎日のように目撃情報があります。

2023.7.14

日本から輸送した光合成測定装置を組み立て、北極植物の光合成活性を測定します。輸送中に壊れていないか、心配しながら組み立て作業を行いました。

2023.7.13

他の国の人たちが、植物の生えているところで操作実験をしています。ホッキョクグマの目撃情報が増えてきているため、一人は周囲を見張っています。

筑波大学の先生が植物の病原菌を調べるために、新たにやってきました。

2023.7.12

今回の研究では、植物の発芽から枯れるまでの情報を集めます。雪が解けていつ頃葉を開き、花を咲かせ、種をつけ、いつ頃枯れるのか。植物の様子を定期的に撮影するカメラを野外に設置しました。

2023.7.11

ニーオルスン到着翌日、早速ロングイヤービンで採取したものと同じ種類の植物を探します。雪渓の近くに展葉して間もない個体を見つけました。

展葉とは、植物の葉がひらくことです。

ニーオルスンでは、メスのトナカイと遭遇しました。首の付近は冬毛が抜け落ちていないため、白色に見えます。

2023.7.10

7月10日はロングイヤービンからニーオルスンに移動する日でした。ドイツなどの研究者たちと9名で小型飛行機に乗り込みます。雲が途切れた際には、目下に氷河が見えました。

2023.7.8

植物調査に相応しいサンプルを探すために、人口2000人以上の町としては地球最北にあるロングイヤービンを探索しました。同行している広島大学の学生がスバールバルライチョウを見つけました。夏の羽に生え変わっているところのようです。

トナカイも冬毛が抜け落ちて夏毛に生え変わる時期です。ロングイヤービンでは、既に植物の多くは花をつけていました。トナカイは花が大好きなようです。

調査目的の植物を発見できました。個体サイズの測定と写真を撮影後、土も含めて採取しました。

2023.7.6

植物の調査や機器のメンテナンスをする目的でノルウェー北極に1か月ほど滞在します。日本を出発して3日目、ようやく目的地であるノルウェー、スバールバル諸島のスピッツベルゲン島が見えてきました。

2023.7.6

北極ニーオルスンNOW!! 2023
ニーオルスン基地に滞在中の国立極地研究所の研究者から届いた現地の写真とメッセージをお届けします。

ニーオルスンの位置

ニーオルスンはノルウェー本土と北極点との間に位置するスバールバル諸島スピッツベルゲン島にあり、北緯78度55分、東経11度56分に位置します。

ニーオルスン基地のライブ映像

現在のニーオルスン基地周辺
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