北極圏海洋環境保護作業部会 (PAME) I-2021に先立つ海運専門家(SEG)会合
報告者:大塚夏彦(北海道大学/北極航路課題)
北極評議会の北極圏海洋環境保護作業部会(PAME)のもとで活動している海運専門家グループ(Shipping Expert Group;SEG)会合が、2021年度第1回PAME会合に先立って、1/28-29の2日間にわたって開催されました。この会議は、PAME会合においてSEGの活動報告を行うための準備とともに、SEGが進めている多くのプロジェクトの実施方針、進捗状況確認ならびに新規プロジェクトに関する協議などを行うもので、年2回のPAME会合に先立って開催されるものです。今回の会議では、国際海事機関IMOにおける船舶燃料規制や極海コードなど北極海域での船舶活動に関連する事項の情報と動向確認のほか、SEGが実施しているプロジェクトの状況報告や今後の活動方針などが議論されました。主なものでは、
- 北極域での船舶からのブラックカーボン排出削減技術プロジェクト
- 衛星AISによる北極海における船舶行動記録データベースASTDと観測された船舶密度マップ
- Polar Code適用における船の種別、アイスクラス/極地氷海船級、海氷条件の適用方法
- 氷海中における低硫分燃料およびその他いくつかの油種の挙動と風化特性
- Compendium of Arctic Ship Accidents (CASA)による海難事故情報の収集方針と進捗状況
- 海中騒音による海洋生態系への影響と管理方法の検討
- PAMEの海運分野活動におけるオブザーバー参加強化への取り組み
などについて議論が行われました。