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ASSW2022・IASC海洋学作業部会会合参加報告

報告者:菊地 隆(海洋研究開発機構/海洋課題)
川合 美千代(東京海洋大学/海洋課題)

2022年3月27日(土)、国際北極科学委員会(International Arctic Science Committee:IASC)の海洋学分科会会合(MWG)がハイブリッド形式で開催されました。まず、中央北極海無規制公海漁業防止協定が6月に発効し、今後2年で研究・モニタリングプログラムとデータ・シェアリング・マネジメントを確立する予定であること、IASC戦略計画の見直しに関する会議が開かれたこと、2025年に開催予定のICARP IV国際会議の運営会議が開催されたことが報告されました。その後、MWGが支援している各活動の報告がありました。Synoptic Arctic Survey(SAS)については、コロナにより計画の一部に遅れが生じていますが、2021年のOden航海、2022年のHealyの航海など、引き続き観測が実施されているとのこと。ちなみに日本では、2020、2021、2022年と毎年SAS航海を実施しています。Indigenous Methodologies in Collaborative Arctic Scienceは、ASSW2022において特別セッションを開催しました。PaleoArcが開催した国際会議「Processes and Palaeo-environmental changes in Arctic: from past to present」の要旨集はネットでダウンロード可能です。BEPSII Sea ice schoolが5月にカナダのケンブリッジベイで実施されます。日本からは野村 大樹氏(北大)と漢那 直也氏(東大)が講師として参加予定です。北極観測航海に、若手科学者や先住民を乗せるというプログラムについては、コロナのため実行が困難な状況となっていますが、来年度も引き続き参加者を募集します。ArcticLight Networkは、「光」に関して、海洋・陸・人間・雪氷の知識を集約することを目的としたプロジェクトで、3月に2回のオンラインワークショップを開催しました。MOSAiC関連では、4月にドイツにて科学会議を開催予定です。オンラインで公開している「気候変動と極域科学;教育とアウトリーチのための資料」の更新版作成が進められています。グリーンランドのヌークで「先住民主導の野生動物、保護区管理、保全促進」に関する2日間のワークショップが開催される予定です。

その他、Pacific Arctic Group(PAG)の活動報告や、大西洋側のDBO(Distributed Biological Observatory)会議が予定されていること、PLOS ONEにて太平洋側DBO特集号を掲載したことが報告されました。また、2023年のみらい北極航海で、日本国外の若手研究者乗船枠を設ける予定であり、そのための旅費をIASCで支援する可能性について今後議論していくこととなりました。

さらに、UN Ocean decadeに関してMWGとして何をすべきかについて議論し、これまでの活動の中で関連するものを取りまとめて情報提供することと、他のIASCグループとの共同でワークショップを開催することが提案されました。最後に、選挙により、Heidi KassensがChair、菊地 隆とKaren FreyがVice-chairに再任されました。