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ASSW2023・IASC社会人間作業部会会合参加報告

報告者:岸上 伸啓(国立民族学博物館/社会文化課題)

国際北極科学委員会(IASC)の社会人間作業部会(Social and Human Working Group、略称SHWG)の年次会合は、オーストリアのウィーンのArctic Science Summit Week(ASSW)2023において現地参加・オンラインの併用で2023(令和5)年2月19日(日)に開催されました。この会合には、Nobuhiro Kishigami(National Museum of Ethnology)が日本代表としてオンラインで参加しました。ハイブリッド方式で会議は開催されましたが、主催者側の問題でオンライン接続がうまくいかず、開始時間が大幅に遅れたため、いくつかの議題は省略されてしまいました。

今回の会議では、社会や人間に関する研究における先住民の参加の重要性、北極研究の脱植民地化を推進すること、先住民や先住民組織に研究資金を提供すること、学術的会議に先住民の権利保持者を招待すること、科学者と先住民とによる知識の協働生産の重要性、若手研究者の育成などについて検討されました。

北極研究に関する戦略的将来計画についても検討が行われました。社会人間作業部会が研究の中心に据えるテーマとして、人口関連課題(コロナの北極コミュニティへのインパクト、感染症のモニタリング、移住)、気候変動関連課題(食料主権と食料保障、健康の社会・環境的決定要因、景観の変化とコミュニティへの影響、コミュニティの適応)、北極における協力関連課題(地政学と協力、政治的意思決定、健康・社会政策の比較とエビデンスに基づく政策)、コミュニティの繁栄関連課題(文化的ウェルビーイング、精神的ウェルネス、先住民言語、大地に基づく観察と治癒)、土地利用と持続可能な生活関連課題(資源開発、先住民による土地の主権と土地利用)などが指摘されました。また、社会人間作業部会が参画する学際的研究の焦点は、方法、責任ある調査実践、知識の共有と拡散におけるイノベーション、学際的なレンズとアプローチ、キャパシティ・ビルディングであることも報告されました。

最後に、今回の会議では次期の会長1名と副会長2名が選出されました。会長はアイスランドのCatherine Chambers博士、副会長はチェコ共和国のBarbora Halašková博士と英国のIngrid Agnete Medby博士に決まりました。