北極動植物相保全(CAFF)作業部会役員会議について
報告者:内田 雅己(国立極地研究所/陸域課題)
2024年9月25日~9月27日の3日間、北極動植物相保全作業部会(CAFF)役員会議が開催されました。3年ぶりの会議で、議長国はデンマークでした。これまでは、北極の先住民が住んでいる地域で開催していた会議でしたが、今回はオンラインでの開催となりました。参加人数は日によって異なりますが、55名ほどでした。
今回の会議で最も多くの時間を費やしたのは、AAB:Actions for Arctic Biodiversity(北極生物多様性に関するアクション)でした。AABは2013年~2023年で活動計画が策定されていましたが、2022年以降CAFFの活動が止まっていたため、継続して策定されていませんでした。今後策定するアクション(2025-2035)は、2022年12月に採択された新たな生物多様性に関する世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」のグローバルターゲットを考慮することになりました。
周北極生物多様性モニタリングプログラム(CBMP)からは、陸域、海洋、淡水、沿岸の4グループから報告がありました。これまでの活動や成果、現在の組織の概要を紹介したのち、COVID-19蔓延による活動の遅れを報告しました。今後の計画として、昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)、生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)、そして生物多様性観測ネットワーク(GEO BON)などと直接連携を組める取り組みを進めているとの報告がありました。
2019年から準備を開始し、2021年に運営委員会を立ち上げた北極圏監視評価プログラム作業部会(AMAP)との共同プロジェクト「気候変動が北極の生態系に与える影響とそれに伴うフィードバック」他、継続していたプログラムやプロジェクトについては、これまでの活動紹介が主で、今後再始動するための実働メンバーの確認や、活動が停止していた間の科学的、政治的、および社会的な変化を踏まえた上で、今後の活動計画を練り直して進めていく方針の報告が大半でした。