海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する海洋地球研究船「みらい」は北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)の活動として2021年8月31日〜10月22日、19回目の北極海観測航海を実施します。観測内容は主に戦略目標①の研究課題に関連するものですが、研究成果やデータの発信、他の戦略目標の研究課題との連携を通じて、戦略目標②③④の達成にも貢献します。
この航海では、国際連携による北極海同時広域観測Synoptic Arctic Survey(SAS)も実施します。
2021年度みらい航海概要
北極海は「海氷の減少」に代表されるように、地球温暖化・海洋温暖化のシグナルがいち早く現れる海域です。本航海では、その中でも特に劇的な環境変化の最中にある、北極海のゲートウェイ「太平洋側北極海」において、CTD/採水観測、係留系/セディメントトラップの回収・設置、大気観測、乱流観測、漂流ブイ、プランクトンネット、採泥といった調査をします。これらの調査によって海洋循環や、大気・海洋化学物質循環、海洋酸性化の進行状況、海洋生態系の変化などを明らかにすることを目指した統合的な観測データセットが作られます。
20年を超える「みらい」の観測から、太平洋側北極海がどのような変化をみせ、そしてこれからどう変わりゆくのか、様々な研究の基礎となるデータの取得が期待されます。そしてこれまで蓄積してきた観測データに加え、海氷が減ることで活発になっている北極海の波浪調査や、昨今環境汚染の象徴として注目されている海洋マイクロプラスチックの北極海での分布調査といった世界的にも新しい研究トピックにも取り組みます。さらには、次世代の海洋観測プラットフォームとして期待されている、海氷下の海洋環境まで自動観測する「極域用海中観測ドローン」の運用試験も予定され、盛りだくさんの研究テーマが集う航海です。
航行船
航海期間
2021年8月31日〜10月22日までの52日間
調査海域
北極海・ベーリング海・北太平洋
「みらい」北極航海の予定航路
北極海同時広域観測 Synoptic Arctic Survey(SAS)計画とは
SASはこれまで北極海では行われてこなかった複数船舶による同時かつ広域の高精度観測を実施する計画であり、海洋地球研究船「みらい」は太平洋側北極海の観測を担当します。SASの実施結果は北極海広域での環境・気候変化をとらえるための、さらに将来の環境・気候を予測するための基礎データとなることが期待されています。
2021 北極海からのメッセージ
おまけ
2021年10月22日 帰港してからも引き続き色々あるのが観測…
応援ありがとうございました!
2021年10月21日 「みらい」はついに清水港に入港し、52…
シロクマ賞
2021年10月20日 明日はいよいよ清水入港です。「みらい」…