海洋研究開発機構(JAMSTEC)が保有する海洋地球研究船「みらい」は、北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)の活動として、2024年8月27日~9月30日に22回目の北極海観測航海を実施します。観測内容は主に戦略目標①の研究課題に関連するものですが、研究成果やデータの発信、他の研究課題との連携を通じて、戦略目標②、戦略目標③、戦略目標④の達成にも貢献します。
2024年度みらい航海概要
2024年の「みらい」は太平洋から流れ込む海流の流路となる海域「太平洋側北極海」に重点を置いた調査を行います。太平洋を起源とする暖かい海流の影響力は大きく、海氷減少や昇温といった物理環境、栄養物質の循環や酸性化といった化学環境、そして海洋生物の分布など、北極海のあらゆる環境に大きな変化をもたらしています。北極域の気象変化もまた、全球の気候システム変動と強く結びついていることがわかってきました。それでもなお、私たちは北極海についての現状と、そして今後どう変わりゆくかについて、ほんの一部しかわかっていません。さらに、将来的な北極航路利用や鉱物資源開発、そして北極海の生態系の保全といった観点からも、北極域環境の詳細な現状把握は喫緊の課題となっています。このため「みらい」の北極海観測は国際的にもとても重要な役割を担っています。
今年は特に盛りだくさんの観測項目が予定されています。海洋学をはじめ、気象学、古環境学そして工学まで多様な分野の研究者が乗船し、いろいろな角度から調査を行い上記の研究課題に取り組みます。海洋観測・気象観測では、ドローン観測など新しい技術を取り入れながら、北極海の自然環境の現状の解明を目指します。巨大なグラビティコアラーを用いた海底堆積物調査からは、1000年を超える環境・気候変化の解明を目指します。また、海氷波浪レーダーや極域水中ドローンといった工学的な調査・実験によって、氷海における安全な航行技術の発展と新しい観測技術が開発されます(下図)。
四半世紀にもおよぶ「みらい」の北極海観測航海も今年を入れて残り2回となりました。「みらい」と共に発展してきた北極海の観測技術は成熟し、世界に誇る観測精度は多くの科学的知見を積み重ねてきました。長年にわたって蓄積された研究データは、北極海の環境変化の歴史の解明と、さらに今後どのように変わりゆくのかを予測する上でますます貴重になっています。2024年の北極海はどんな姿を見せるのか、研究者一同楽しみにしています。
調査研究実施内容(ArCS II関連)
これまでの「みらい」北極航海特集ページ
2024 北極海からのメッセージ
2024年度北極航海実施中、「みらい」乗船者からのメッセージを掲載します。お楽しみに!
(こちらの内容は
JAMSTEC公式X(旧Twitter) でも発信します。
ハッシュタグ #みらい北極航海2024 も是非ご覧ください。
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今年は通信社の記者も同乗しています。船上からのリポートを下記からご覧いただけます。
「北極」から探る未来 覇権争い、温暖化の最前線(時事ドットコム)
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