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The 15th Polar Law Symposiumにおける研究報告およびArctic Circle Assemblyにおける情報収集

若手人材海外派遣プログラム参加者:2022年度第1回短期派遣
稲井 太一(神戸大学)

(写真1)Rachael Lorna Johnstone教授との意見交換

2022年10月7日から10月18日の間、アイスランドのレイキャビークおよびアークレイリに滞在し、アークレイリ大学極域法センターへの訪問(10月8日-11日)、The 15th Polar Law Symposium における研究報告(10月12日-13日)、およびArctic Circle Assemblyにおける情報収集(10月13日-16日)を行いました。10月8日-11日のアークレイリの滞在においては、神戸大学大学院国際協力研究科が学術交流協定を結んでいるアークレイリ大学極域法センターを訪問しました。今回の訪問においては、同センターのRachael Lorna Johnstone教授(国際法)によるPolar Law Courseを聴講するとともに、意見交換を行うことができました(写真1)。さらに、北極評議会作業部会の1つである北極圏植物相・動物相保存作業部会(CAFF)事務局を訪問し、関係者との意見交換を行うことができました。特に、2022年2月のロシア侵攻によるCAFFの実施するモニタリングプロジェクトへの影響や先住民族の知識の保護や法的立場に関して、意見交換をできたことは、国際法を専攻する者として大変興味深いものでした。

(写真2)PLSにおける報告の様子

10月12日-13日には、レイキャビークにおいて開催された極域法国際シンポジウム(The Polar Law Symposium(以下PLS))に参加し、研究報告を行いました。PLSはその成立の経緯から北極域を主な対象とし、極域に関する国際法政策に関わる研究者や実務家、先住民団体等が毎年一堂に会する学術会合です。私は、「中央北極海無規制公海漁業防止協定(以下、CAO協定)における暫定的保存管理措置の構造・意義」に関しての報告を行いました(写真2)。特に、報告の中では、CAO協定に加盟する日本の利害に関して言及するとともに、商業的漁獲の開始要件であるCAO協定第3条および第5条の関係を整理し、中央北極域公海部分における法の支配の実現への寄与の可能性に関して報告を行いました。

(写真3)ACAの様子
(写真4)ACAにおける人的ネットワークの構築と意見交換

10月13日から16日にかけては、Arctic Circle Assembly(ACA)に参加し、国際法関連(特にCAO協定関連)のセッションにおいて情報収集を行いました(写真3, 4)。特に、報告者にとって、CAO協定に関する各国の政治的な動向に触れることができたことは、非常に有意義なものでした。こうした情報は、北極海を対象とする条約レジームとしてのCAO協定の位置づけ、IUU(違法・無報告・無規制)漁業対策として漁業管理のメカニズムの法的仕組みの在り方を考察する上で重要な観点です。本派遣を通じて、国際漁業管理に関する国際法や国際人権法(特に国際法上の先住民族の権利)という国際法のメインストリームの研究分野がどのように北極域における法的問題と関連するかという点を知ることができたことは非常に有意義であったと考えます。

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