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砕氷船ポーラーシュテルン号を用いた、北極海中央での海氷・海洋観測

報告者:川口 悠介(東京大学)
関連課題:海洋課題

ドイツのアルフレッド・ウェゲナー海洋研究所(AWI)が主催する北極観測プロジェクト「ArcWatch」が、2023年8月2日から10月1日の日程で、進行中です。ArcWatchでは、砕氷船であるポーラーシュテルン号を用いて、北極海中央に位置するナンセン海盆・アムンセン海盆に赴き、海氷と海洋を中心に現地調査を行っています。砕氷船を用いることで、北極海の氷盤に船を直に横付けすることが可能となり、また、ときにヘリコプターを利用することで、氷上に人間が立ち、直接的な手法で海・空・氷に関係したさまざまな自然環境について調べることができます。私が所属する海洋物理チームでは、主に海中の水温・塩分、そして、流速などを計測し、北極海で起きている海洋環境の変化について物理学的な視点で調査しています。この海域は、北極海の中でも比較的水深が大きいことで知られており、ときに3500メートルの深さにまで観測機器をおろし、データやサンプルを採取することもあります。他にも、海氷を専門とするチームではROVと呼ばれる水中探査機を利用することで、海氷底面の形状を面的に捉えるような観測も行っています。

氷上ステーション上空からの写真。各所にテントや三脚などの観測設備が配置されている。曲線的に見えるラインはスノーモービルの走行跡。

観測のスタイルですが、海氷の上では常にシロクマと遭遇する危険性があるために、グループ行動やライフルの携行など厳しい行動規範が定められています。船上の生活に関しては、船内にフィットネスジムやサウナ、プールも完備されており、研究者・技術者・クルーの心身をリフレッシュさせてくれます。乗船者に日本人は他におらず、その多くがドイツ国内、もしくは欧州からの研究者で構成されています。

海氷下の熱流動を計測する機械の設置風景。後ろに作業用のテントとポーラーシュテルン号が見える。

 

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