市民公開講演会「北極の島 グリーンランドの暮らしと気候変動」報告
報告者:アリーン・デレーニ(東北大学)
関連課題:社会文化課題
講演会「北極の島 グリーンランドの暮らしと気候変動」は、ArCS II社会文化課題のアウトリーチ活動として、東京の日本科学未来館で開催されました。このイベントは、東北大学東北アジア研究センターのAlyne Delaney博士(報告者)が企画し、地元の人々の生活への気候変動の影響に焦点を当てました。また、気候変動や経済状況など、人々が直面している変化を海とグリーンランドの海産資源に焦点を当てて結びつけました。講演者たちの間には、「氷の海」が繋がりのテーマとなりました。
イベントは、カナックの狩人であり音楽家であるAleqatsiaq Peary氏による3つのオリジナル曲で幕を開けました。Peary氏は、National GeographicのThe Last Ice(2020)に登場し、Delaney博士の現地調査でガイドを務めました。Peary氏の歌が流れる中、講演者のスライドショーとグリーンランドの自然や人々の写真が表示されました。その後、Delaney博士が講演者とグリーンランドの社会について簡単な紹介を行い、正式にイベントを開始しました。その後、アジアにおけるグリーンランド政府の代表であるJacob Isbosethsen氏が観客に歓迎のスピーチを行いました。これらのスピーチの後、4人の講演者が登壇しました。そのうち、ロイヤルグリーンランドジャパンの代表取締役である下田 高明氏と北海道大学の助教である富安 信氏が漁業と持続可能性について話しました。
漁業に関連する話の後、数年間にわたって北極民族の生活を文書化してきたプロの写真家、遠藤 励氏によるスライドショーと講演が行われました。この日は、狩猟者の視点からの気候変動のビジュアル・ドキュメントに焦点を当て、その多くがまた漁師でもあることを紹介しました。最後の講演者は、グリーンランドから参加したPipaluk Lykkeさんで、彼女は若者に水の安全を教えるプロジェクトでの役割について話しました。グリーンランドでは海での溺死率が高く、これを防ぐための活動の一環でした。イベントは質疑応答セッションで終了し、観客がイベントの講演者と直接話す機会を提供しました。
全体として、講演者はグリーンランドの住民と彼らの海洋環境との微妙な関係を探求し、漁業、狩猟、日常生活、伝統的な習慣、現代社会の領域に深く入り込みました。海氷の変化や気候変動の課題も提示され、議論されました。
イベントは、東北大学東北アジア研究センターとArCS II社会文化課題の共同主催で開催されまして、デンマーク王国大使館(日本)とロイヤルグリーンランドジャパンによる共同後援のもとに実施されました。正式に登録されたゲストが90名おり、主催者、講演者、特別ゲスト、学生ヘルパーを加えると、このイベントは大成功だったと感じられました。イベント後、Jacob Isbosethsen氏(グリーンランド政府)から、次回のイベントがいつ開催されるか、そして今年は別のイベントがあるかどうか尋ねられるほどでした。