ArCS IIイベントシリーズ・サイエンストーク「北極海にひろがるプラスチック汚染」を開催しました
ArCS IIの最終年度である2024年度は、代表機関の国立極地研究所の南極・北極科学館を中心に、ArCS IIイベントシリーズ「ようこそ、北極へ!」を、年間を通して行います。2024年6月15日(土)には、講師に池上 隆仁氏(海洋研究開発機構)、ファシリテーターに上野 洋路氏(北海道大学)を迎え、日本海洋学会教育問題研究会の「海のサイエンスカフェ 」との共催で、サイエンストーク「北極海にひろがるプラスチック汚染」を実施しました。
サイエンストークには、小学生から70代までの29名が参加しました。社会の関心度が高いテーマのためか、北陸や関西、中国地方からの参加者もいました。最初にファシリテーターによる趣旨説明と登壇者・参加者全員の自己紹介を行った後、講師から海洋プラスチックの基本情報から、北極海でのマイクロプラスチックの採集・分析、今後の研究に至るまで、さまざまな話題を提供しました。
会場では、日本近海や北極海で採取してきたマイクロプラスチックや、池上氏推薦の絵本や書籍、観測時に撮影した写真なども展示されました。参加者は休憩中などにじっくり見たり、研究者やスタッフに質問したりして、海への理解を深めました。後半は、4〜6名のグループに分かれて「海」をテーマにグループ討論を行いました。各テーブルで話し合った結果を全体で共有したところ、話題は、今日の感想や各自の問題意識、自分たちにできること、学校での取り組みなど多岐にわたりました。
質問の時間には、「なぜ海の中でマイクロプラスチックは他の物質を吸着しやすいのですか。」「海のマイクロプラスチックやそれが運ぶ汚染物質や病原菌の影響はどこまで分かっているのですか。」「プラスチックの排出量が多い国はどこですか。」「観測船にはどのような人たちが乗っているのですか。」「マイクロプラスチックを解析する際に工夫していることはありますか。」など多くの質問が出て、サイエンストーク終了後にも熱心に質問する参加者もいました。
参加者アンケートには、「現地での調査、研究者ならではの話が聞けて良かったです。」「北極海のマイクロプラスチック観測があまり進んでいないことに驚きました。」「研究者の方々が、さまざまな切り口で根気強くデータを集め、研究されていることに、心からのリスペクトを贈りたいと思いました。」「マイクロプラスチック汚染の知名度が上がっても、1人1人の行動が変わらなければ意味がないので、私たちにできることをみんなで考えていきたいです。」「最後のグループディスカッションが学びの多いもので楽しかったです。」などの感想が寄せられ、参加者の北極海や研究への興味・関心をさらに引き出すことができました。