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プロジェクト報告・成果

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プレスリリース 著者からのメッセージ
— ArCS IIニュースレターNo.5より —

ArCS II ニュースレターNo.5では、2021年冬から2022年春にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。
※所属はニュースレター発行時の情報です。

市販のドローンで高精度の気象観測は実現するのか?

猪上 淳
(国立極地研究所 気水圏研究グループ)


一昔前の無人小型固定翼機の気象観測には、専門の操縦者を配置するための高額な予算が必要でした。今は小型ドローンなら安く入手でき、簡単に操縦できる時代。ドローンで既存の気象観測ネットワークを拡充させれば、高精度の天気予報が実現するのではないか? そのような思いから、ドローンによる気象観測の誤差にこだわった室内・野外実験を行いました。適切な設定を施せばラジオゾンデ並みの観測精度が得られることを実証しました。

論文タイトル Toward sustainable meteorological profiling in polar regions: Case studies using an inexpensive UAS on measuring lower boundary layers with quality of radiosondes
掲載誌 Environmental Research
掲載日 2021年12月2日
著者 Jun Inoue, Kazutoshi Sato
DOI https://doi.org/10.1016/j.envres.2021.112468

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赤雪現象の全球シミュレーションに世界初成功!

大沼 友貴彦
(東京大学 生産技術研究所)


近年、世界各地の氷河や高山地域で雪氷微生物の繁殖による彩色(赤雪)現象が発生しています。今回従来のモデルを改良し、全球での赤雪発生シミュレーションに世界で初めて成功しました。赤雪の発生時期は融雪期間の長さと降雪頻度に主に依存しており、雪氷微生物の繁殖活動が気候変動下で敏感に影響を受けていることが示唆されました。今後は開発したモデルを使って、この微生物活動がもたらす気候変動への影響を過去から将来にかけて定量的に評価できるようになると期待しています。

論文タイトル Global Simulation of Snow Algal Blooming by Coupling a Land Surface and Newly Developed Snow Algae Models
掲載誌 Journal of Geophysical Research: Biogeosciences
掲載日 2022年2月2日
著者 Yukihiko Onuma, Kei Yoshimura, Nozomu Takeuchi
DOI https://doi.org/10.1029/2021JG006339

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西暦3000年までのグリーンランド氷床の変動を予測

グレーべ・ラルフ
(北海道大学 低温科学研究所)


南極大陸とグリーンランドの氷床は将来の海面上昇の最大の要因と考えられており、その予測にコンピュータ・シミュレーションが重要な役割を果たしています。私たちは西暦2100年以降温暖化の傾向に変化がないとの仮定のもと、氷床モデルSICOPOLISを用いて西暦3000年までのシミュレーションを行いました。その結果、効果的な気候変動緩和策が取られない限り、21世紀の気候変動はその後何世紀にもわたってグリーンランド氷床に影響を与え続け、最大3.5mという海面上昇を引き起こす可能性が示されました。

論文タイトル Mass loss of the Greenland ice sheet until the year 3000 under a sustained late-21st-century climate
掲載誌 Journal of Glaciology
掲載日 2022年3月14日
著者 Ralf Greve, Christopher Chambers
DOI https://doi.org/10.1017/jog.2022.9

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画像分類AIを用いて潜在植生を予測する新手法を開発

佐藤 永
(海洋研究開発機構 地球環境部門)


どのような気候にどのような潜在植生が出現するかという問題は、古典的な生物地理学のテーマで、これまで多くの手法が提案されてきました。この古いテーマに、私たちは画像分類AIという新しい技術を適用することで、従来よりも簡便かつ高精度に潜在植生を推定できる手法を開発しました。またこの手法を用いて、ツンドラや亜寒帯林の高緯度・高標高側への分布シフトといった、21世紀末における植生変化を予測しました。

論文タイトル Predicting global terrestrial biomes with the LeNet convolutional neural network
掲載誌 Geoscientific Model Development
掲載日 2022年4月18日
著者 Hisashi Sato, Takeshi Ise
DOI https://doi.org/10.5194/gmd-15-3121-2022

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