陸域生物
寒冷や乾燥、強い紫外線など、極地の陸上は生物の生存にとって、地球上の一つの極限環境です。そのような極限環境にみられる現在の生物の多様性の実態把握と変遷に関する研究に取り組んでいます。また、生物の生活史や生理・代謝などの極限環境への適応の解明を通じ、極地での生態系の成り立ちや生態系自体が担う物質循環やエネルギー移送など、地球環境変化に伴って変遷してきた、あるいは今後変遷していく姿を解明しようとしています。極地の地表の土壌・植物(蘚類や地衣類)、南極の湖沼に繁茂・発達し、堆積されてもいる蘚類(コケボウズ群落などを構築する水棲蘚類)・微生物群集の侵入定着、生物多様性の遷移現象や現状、その周辺環境が研究対象です。
北極域では、1992年以降、ノルウェー・スバールバル諸島にあるニーオルスン基地やカナダ北極域を中心に、植生、植物の生理生態、微生物生態、物質循環などの視点から、生物多様性や生態系の構造と機能を明らかにしてきています。炭素循環研究では、プロセスベースの炭素循環モデルを構築し、温暖化の影響を予測しています。カナダ北極域では、2002年以降、北緯55°~83°に渡るトランゼクトを設け、生物多様性と生態系機能に関する研究を進めています。近年はノルウェー北極大学、オランダフローニンゲン大学、カナダのラバル大学やケベック大学、チェコの南ボヘミア大学やドイツのアルフレッドウェゲナー研究所などとの国際共同研究も実施しています。
寒冷や乾燥、強い紫外線など、極地の陸上は生物の生存にとって、地球上の一つの極限環境です。そのような極限環境にみられる現在の生物の多様性の実態把握と変遷に関する研究に取り組んでいます。