フェノスカンディア森林センサスチーム

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北欧の実り豊かな森(2015.9.18)

チームメンバー:松浦陽次郎

たくさんの実をつけたビルベリー

5月下旬から6月上旬に調査したフィンランド北極圏の森林(北緯68度)に続き、8月中旬にはエストニア(北緯58~59度)で調査を行いました。以前に予備調査で訪れたのは3月下旬や10月中旬でした。また、前回の本格的な調査を行ったのは6月中旬だったので、今回の森林の様子はこれまでのどの時期とも違って、北欧ならではの景観でした。まず、ブルーベリーの近縁種ビルベリー(Vaccinium myrtillus)が、足の踏み場もないほどに実をつけていました。食べ放題です。土壌調査のために地面に座り込んだり、膝をついたりすると、作業ズボンが紫の斑点だらけになります。ヒースと呼ばれるツツジ科の低木、Calluna vulgarisの美しい赤紫の花が絨毯のように咲いていました。

緯度も北緯60度前後で非凍土地帯に位置し、他の周極域の森林帯と比較すれば、暖流の影響による「暖かい冬と多めの降水量」という気候条件のために、砂質土壌に育つ100年前後のヨーロッパアカマツ林でも、樹高は20mを超えます。典型的なポドゾル土壌も生成され、「寡雨・極寒」の永久凍土地帯の森林土壌とは全く異なっています。

実をつぶしたために紫の斑点が

けっこう大粒サイズです

ヒースとかエリカと呼ばれています

典型的なポドゾル土壌の断面