研究課題(1)

北極気候再現性検証および北極気候変動・変化のメカニズム解析に基づく全球気候モデルの高度化・精緻化

研究代表者:野沢 徹(岡山大学)

計画概要

本課題では、 以下の3つのサブテーマを通して、全球気候モデルを高度化・精緻化し、北極気候の将来予測精度の信頼性向上を目指します。

1つ目のサブテーマは「気候モデルによる北極気候再現性の検証」。全球気候モデルによるシミュレーション結果を、GRENE北極気候変動研究事業で構築する「北極域データアーカイブ」のさまざまな観測データと比較解析し、北極気候の平均状態や長期変動・変化がどのくらい現実的に再現されているかを検証します。また全球気候モデルの誤差要因を分析し、その解消に役立てます。

2つ目は「北極気候変動・変化の原因特定・メカニズム解明」。大気中の放射バランス、海氷や植生・凍土、降積雪や氷床など、さまざまな視点からの多角的な解析に基づき、 北極域における温暖化増幅メカニズムの解明を目指します。解析には、気候フィードバック解析、気候変動要因切り分け実験を用いた多変量統計解析など、さまざまな手法を取り入れます。

3つ目は「北極において重要となる要素モデルの開発・改良」。北極域の気候において重要な海氷や積雪、凍土、植生などの要素モデルを新規開発あるいは改良します。氷床や水同位体などまだ取り入れられていない要素を追加することにより、全球気候モデルを高度化・精緻化します。

観測研究者と協力して新たなデータセットを構築するなど、 観測研究とモデル研究との協同も促進させます。それらを通して、 戦略研究目標①「北極域における温暖化増幅メカニズムの解明」②「全球の気候変動及び将来予測における北極域の役割の解明」の達成に貢献します。