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戦略研究目標① 北極域における温暖化増幅メカニズムの解明
戦略研究目標代表者 野沢 徹(岡山大学)

1906〜2005年の100年間で、地球の平均気温は約0.74℃上昇しました。北極域の気温上昇は、それをさらに上回っています。北極域は、地球上において気候変動による影響が最も顕著に現れる地域の一つとされています。しかし、なぜ北極域で温暖化が増幅されるのか、そのメカニズムは必ずしもよく分かっていません。

気温が上昇すると、 積雪や氷河・氷床、海氷が減少し、地表や海面が露出します。表面が白から黒っぽい色に変わることで太陽光反射率(アルベド)が低下して陸や海が暖められ、さらなる気温上昇を招くのも事実です。しかし、アルベドの変化だけでは、北極で観測されている急激な気温上昇を説明できません。北極の気候変化は、アルベドだけでなく、 大気中の水蒸気や雲・エアロゾル、植生や炭素循環、大気や海洋の熱輸送など、さまざまな変化が複雑に絡み合って生じています。

GRENE北極気候変動研究事業では、それぞれの要素が近年の温暖化にどれだけ寄与しているのかを定量的に把握していくことで、温暖化増幅メカニズムを解明することを目指しました。

戦略研究目標①では「北極域における温暖化増幅メカニズムの解明」を達成するため、以下の4つの研究課題を実施しました。

研究課題(1)北極気候再現性検証および北極気候変動・変化のメカニズム解析に基づく全球気候モデルの高度化・精緻化
研究課題(2)環北極陸域システムの変動と気候への影響
研究課題(3)北極温暖化のメカニズムと全球気候への影響:大気プロセスの包括的研究
研究課題(4)地球温暖化における北極圏の積雪・氷河・氷床の役割