菅沼悠介准教授が地球電磁気・地球惑星圏学会の田中舘賞を受賞
2021年8月5日
地圏研究グループの菅沼悠介准教授が、地球電磁気・地球惑星圏学会(SGEPSS)の田中舘賞を受賞しました。田中舘賞は、地球電磁気及び地球惑星圏科学において顕著な学術業績をあげた研究者に授与されるもので、岡田誠教授(茨城大学)との共同受賞となりました。対象となった研究は「上総層群における松山-ブリュン地磁気逆転の系統的研究」です。
これまでの地球の歴史の中で、地磁気は逆転を繰り返してきました。もっとも最近に起こった地磁気逆転は「松山-ブリュン地磁気逆転」と呼ばれています。

菅沼准教授らは、松山-ブリュン地磁気逆転を示す地層「千葉セクション」(千葉県市原市)の古地磁気の方位と強度を高解像度で測定することに成功しました。また、国立極地研究所の二次イオン質量分析ラボラトリーの協力を得て、ウラン-鉛法による地層の年代測定を実施し、地磁気逆転の時期が、従来説よりも約1万年遅い77万年前であったことを明らかにしました。さらに、多くの研究者との共同研究により、詳細な花粉分析、海洋微化石分析、浮遊性・底生有孔虫などの同位体分析を行い、地磁気逆転と気候変動との関係を詳細に考察しました。
これらの結果をもとに、国際地質科学連合は2020年1月、「千葉セクション」を「国際境界模式層断面とポイント(GSSP)」に認めました。この認定に伴い、「チバニアン」という、史上初めて日本の地名を冠した地質時代が誕生したことは、大きなニュースになりました。
今回、菅沼准教授らによる、「松山-ブリュン地磁気逆転」研究の学術的貢献が評価され、田中舘賞の受賞に至りました。表彰式は6月にオンラインで行われました。
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