5月上旬は、晴れの日が続いています。今月末には太陽が昇らなくなるため、今が見納めと朝日や夕日を観察していたところ、グリーンフラッシュという太陽が緑色に輝いて見える珍しい自然現象に遭遇しました。
グリーンフラッシュは、大気がプリズムの役割を果たすことによって、太陽の光が屈折して、緑色の太陽の像が浮き上がって見える現象です。日の出や日の入り時、太陽光は大気に対して低い角度で入射するので、屈折の差が大きくなります。太陽光(可視光線)の波長は、長い方から、おおまかに「赤→橙→黄→緑→青→紫」となっていますので、赤よりも黄、さらには緑、さらには青や紫の方が見た目には浮き上がります。
一般的に、朝方や夕方の太陽の光は、昼間よりも空気の層をより長く通ってきますので、途中で青系(青や紫)の短い光が散乱(レイリー散乱)されてしまい、ほとんど届かないのです。結果、緑色の光が目に浮き上がって目に届きます。このため、ブルーフラッシュとかバイオレットフラッシュはほとんど見ることはありません。
今回、隊員がグリーンフラッシュの撮影中に、偶然にもブルーフラッシュを撮影することができました。南極の大気が清浄なため散乱が少ないということを表していると思われます。
参考文献: 斎藤文一, 武田 康男「空の色と光の図鑑」 草思社
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