観測隊の気象部門では、1日2回「高層気象観測」を行なっています。これは、ゴム気球に観測機器をぶら下げて空に飛ばし、上空の気象を観測するというものです。どのくらい上空かというと、高度約30km、飛行機が飛ぶ高さのおよそ3倍の高さまで観測します。観測する項目は、気圧、高度、気温、相対湿度、風向、風速です。
南極の上空では、冬の気温が−80℃以下にまで下がります。上空の気温が−70℃程になると、ゴム気球は割れやすくなり、観測高度が下がってしまいます。ゴム気球が早く割れるのを防ぐため、気球を灯油に浸すという作業を行っています。通称、気球の「油漬け」です。割れにくくなる理由はよくわかりませんが、経験からこの方法が有効であることがわかっています。油漬けの他に、大きめの気球を使うという方法もあり、1日2回の観測のうち、世界標準時で0時(昭和基地の時間で3時)の観測では油漬けをして放球します。
南極上空の気象は、オゾンホールや温暖化などの地球環境問題ともかかわりが深く、環境問題解決のためにも気球には高く上がってほしいと願いながら観測を行っています。 |