7月7日14時頃、北西の空に少し桃色を帯びた絹のような雲が現れました。しばらく観察を続けていると、時間とともに暗くなる空に対して、雲は明るさを変えずむしろ色味を増し、15時頃には薄明の空に真珠色の雲が浮かぶ幻想的な光景(写真)となりました。この後まもなく、雲の輝きは薄れていきました。
昭和基地はまだ極夜。太陽がまだ現れません。それでも輝くのは、雲が高い高度にあるからです。この時の太陽の高度角と雲の見えた高度角から、この雲の高さは、約20kmと推定されました。
これは、成層圏に現れる雲で、極成層圏雲(PSC : Polar Stratospheric Clouds)と呼ばれます。写真のように、虹色に輝くことから真珠母雲とも呼ばれます。
実はこの雲、成層圏のオゾン層破壊と非常に深い関わりがあると研究者から注目されています。これから極夜が明け春になると、オゾンの観測がいよいよ本格化します。
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