北極と南極の夜の長さが同じ程度になる春分や秋分といった時期には、オーロラを両極で同時に観測することが可能になります。オーロラの素となる電子などの荷電粒子は、両極で共通の領域からやってくるので、オーロラを南北で観測すると似たような振る舞いをすることが知られています。オーロラは地球の磁力線に沿って発生する現象です。その磁力線は基本的には南半球からでて北半球に向かう線で表されるのですが、ちょうど昭和基地の付近からでている磁力線をたどっていくと、北極のアイスランド付近にぶつかることになります。
したがって同じ磁力線でつながっている昭和基地とアイスランドでオーロラを観測すると、より似た振る舞いのオーロラが観測されるということになります。
このような関係の場所を互いに共役点と呼ぶのですが、実際には北極には陸地が少なく、そして南極には基地が少ないという条件のため、オーロラの同時観測に適した共役点は貴重となります。
2008年も4月上旬と9月上旬に宙空部門によって同時観測のキャンペーンが行われました。例年、オーロラの条件、天候の条件が両極で良好である機会が少ないのですが、今回の観測では9月4日の早朝に両極ですばらしいオーロラが観測されました。 単純に考えればオーロラは南北でほとんど同時に同じ形で観測されるはずなのですが、今回の観測例ではオーロラが明るくなる時間や形にそれぞれの極において相違点が認められました。 この違いをさらに深く解析することで、太陽―地球システムにおけるオーロラ発生機構のメカニズムの理解がさらに進むことが期待されます。
|