衛星切替作業と引き継ぎの様子
2016年1月10日
引き継ぎは丁寧かつ真剣に
昨年末に57次隊が到着し、にぎわう昭和基地。越冬交代までの約1ヶ月間、わたしたち越冬隊員は57次隊への引き継ぎに大忙しです。LAN・インテルサット担当隊員の引き継ぎ作業におじゃましました。
LAN・インテルサット担当隊員の大きな仕事は観測データの安定した送受信のためにネット環境を維持することですが、それ以外にも、「南極教室」を通じて遠く離れた日本の小中学校の子どもたちに夢を与えることや、急病人やけが人が出た場合に国内の病院とつないで「遠隔医療」を行うことで、安全の確保にもつながっています。
昭和基地でこのようなインターネットが利用できるのは、LAN・インテルサット担当隊員が管理する衛星通信設備により、インテルサットという人工衛星を使って24時間回線を接続しているおかげです。この日、引き継ぎを兼ねて行われた「衛星切替」作業は、この人工衛星を別の衛星に変更するという大変めずらしい作業でした。どんなに念入りに準備をしても、南極での仕事はマニュアル通りにはいかないことばかり。56次隊員は、実際の作業を通して、57次隊員へ仕事のコツやポイントを細かく丁寧に伝えていきます。
さて、新たな人工衛星へ切り替えるためには、アンテナの向きを新しい衛星の方向へ正確に動かさなければなりませんが、その方向を探すのはなんと手作業というから驚きです。電波だけを頼りに、目には見えない40,000km以上離れた衛星を探していきます。アンテナの角度を少しずつ調整するに従い、モニターが示す電波受信感度はどんどん上がっていきます。まさに職人技!今回決定したポイントによって、これからの昭和基地のインターネット環境がより安定したものになりました。
わたしたち越冬隊員は、それぞれ異なる専門の役割を担っていますが、その仕事は自分の専門を超えた越冬中の観測や生活に幅広く関連したものばかりで、すべてはなくてはならない大切なものです。毎年行われているこのような隊員間の丁寧な業務の引き継ぎにより、越冬隊の観測と生活は未来へつながっていきます。
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