大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 南極観測のホームページ

昭和基地NOW!!

 

全輸送完了

2020年1月21日

氷上輸送中の雪上車
61次の新車もすぐに輸送に参戦です

南極観測船「しらせ」が昭和基地に接岸すると、昭和基地は大忙しです。

観測隊は、短い夏期間に研究や建築だけではなく、とても重要なミッションがあります。それは「輸送」。次の61次隊が越冬で観測や生活をするための物資を昭和基地に運び、私たち60次隊が持ち帰る物をしらせに運びます。この物資が越冬に必要な量運ばれることが観測隊のミッション「越冬成立条件」の一つなのです。

その物資の種類は食料・燃料・建設観測物資・重機など多岐にわたり、重さはおおよそ1,000トンにもなります。しらせから昭和基地への移送方法もいくつかあります。

・燃料ホースによるバルク輸送
燃料ホースによるバルク燃料輸送では、数日間かけて昭和基地のタンクに燃料を送り続けます。接岸後すぐに始まり、数日間かけて越冬隊が1年以上生活できるだけの燃料を送ります。実は昭和基地に輸送される物資の半分以上は燃料なのです。その燃料のうち約500トンをこの燃料ホースで運びます。

・氷上輸送
雪上車とソリによる氷上輸送は、雪上車がソリを引いてコンテナや大きくて重い物資を運びます。白夜で深夜でも明るいので、温度が低くて少しでも氷の状態が良い夜中に運びます。その量はおおよそ250トン。昭和基地に持ち込んだ後は、昭和基地から日本に持ち帰る物の輸送となります。昭和基地で出したゴミはすべて持ち帰ります。

・空輸
ヘリコプターによる空輸もあります。氷上輸送や燃料バルク輸送が終了したあと、ヘリコプターの発着しやすい方向にしらせを向けなおして昼間に運びます。この空輸では、スチール製の小型コンテナやドラム缶に入った燃料、バラ物資と呼ばれる小物類など運びます。もちろんこの後、持ち帰りの輸送も行います。
持込み空輸ではヘリが約100往復もします。15分くらいごとにしらせから昭和基地のAヘリポートまで運ばれ、トラックに積み替えて利用場所の近くまで配送します。

持込み物資の一例として、観測隊の気象部門では気象ゾンデによる観測を毎日2回やるのですが、そのゾンデをゴム気球で飛ばすためのヘリウムガスボンベを、何百本も放球棟というゾンデを揚げる場所に運びます。逆に観測後に空になったヘリウムガスボンベを持ち帰ります。このヘリウムガスボンベはヘリコプターで運びます。

約3週間にも及び昼夜問わず運び続け、今隊でも全ての持込み・持ち帰り物資が運ばれました。ようやく大きな肩の荷がひとつおりた感じです。
このあと60次越冬隊は61次隊に引き継ぎを行いながら残りの昭和基地での生活を楽しんでいきます。

雪上車からクレーンでおろしているところ
安全に配慮し、慎重に下ろします。

コンテナ集積場(コンテナヤード)
向かって右側は主に持ち込んだコンテナで、左側は持ち帰りコンテナです。クレーンで下ろした後、大きなフォークリフトで並べます。

氷上輸送中の空
氷上輸送は夜中に行いますが、白夜のため明るいです。

氷上輸送中のしらせ
持込み氷上輸送が終わった日のしらせ。夜からコンテナラックに持ち帰りコンテナが収納されます。

氷上輸送中のしらせ(コンテナラック付近)
冷凍冷蔵コンテナだけを残して空いたコンテナラックの拡大写真。

ヘリコプターによる空輸
ヘリコプターから荷物を下ろし、トラックに載せ替えて各地に配送します。

トラックで配送された物資をクレーンで荷降ろしする隊員
60次61次隊で協力して物資を下ろします。写真は気象ラジオゾンデ打ち上げに使うヘリウムガスボンベ。

トラックで配送された物資をフォークリフトで荷降ろしする隊員
フォークリフトで集積場に並べます。ここには主に食料や設営資材などが集積されています。

全ての輸送最後となる持ち帰り物資の積み込み
この荷物でほぼ全ての荷物の運搬が完了です。

2020年1月21日の気象情報

天気 日の出 日の入 最高気温 最低気温 最大風速
快晴 0:39 23:47 0.9℃ -5.4℃ 5.3m/s

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