大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所

国立極地研究所ホーム>研究所案内>国内外との連携>国際学術研究の組織体制

研究所案内 研究所概要 国内外との連携

国際学術研究の組織体制

国際学術研究 組織体制

政府間組織

南極条約は米国が南極における国際地球観測年(IGY)参加国に呼びかけ、1959年12月1日に日本、米国、ソ連、英国、フランスなど12カ国により採択され、1961年6月23日に発効した。「国際地球観測年」とは、世界中の科学者が協力して1957-1958年の1年半の間におこなわれた、気象、重力、地磁気等地球の物理学的性質を明らかにしようという国際的な観測キャンペーンのこと。南極では厳しい自然環境の中、上の12の国が観測基地を建設して通年観測による科学的成果を得たほか、東西冷戦の最中主義主張を離れ、科学を通した国際協力が花開いた。その後多くの国が加盟し、2014年4月現在、締約国数は50にのぼっている。南極条約では長らく事務局を置かないでATCMを開催してきたが、2002年からブエノスアイレスに事務局(http://www.ats.aq/index_e.htm)を置き、過去の会議文書や最終報告書等各種資料の公開にも取り組んでいる。

条約の骨子は、南極の利用は平和的な目的のみに限ること(第1条)、南極での自由な科学調査とその協力を永続させること(第2条)、南極での科学調査およびその結果は交換し、自由に入手できるようにすること(第3条)、そして南極の領有権についての加盟国の立場には何ら変更を加えない(第4条)、というものである。また条約の趣旨を増進し、条項の遵守を確かなものとするため、基地を含む南極の全域は査察に開放する(第7条)と定めている。地上にユートピアを実現しようとするものであり、後の「宇宙条約」にも大きな影響を与えたとされる。

南極条約の締約国には大きく分けて二つの立場がある。南極に領土権を主張している、アルゼンチン、オーストラリア、チリ、フランス、ニュージーランド、ノルウェー、英国の7カ国は、「クレイマント」と呼ばれる。日本を含む残る国々は南極に領土権を主張しないと同時に他国の主張も否認する「ノンクレイマント」と呼ばれる。中でも、米国、ロシアは現状では領土権を主張しないが、過去の活動を特別の権益として留保している。南極条約においてはクレイマント、ノンクレイマント双方の立場が認められ、基本的立場の違いはあるものの、対立を表面化させずに共通の関心事項について対処するよう努めている。南極条約が発効する前は、南極半島の一部でアルゼンチン、チリ、英国の主張する領土が重なっているため、戦争状態にならないとも限らなかった。南極条約はそのような状況を凍結し、南極での平和を維持することに貢献している。

この条約の締約国会議である南極条約協議国会議(次項で説明:ATCM)では、南極に関する様々な事項について協議が行われ、多くの勧告(recommendations)が採択されてきた。また、ATCMの場で協議され、南極地域を対象とする条約が締結された。1972年には「南極のあざらしの保存に関する条約」(CCAS)、1980年には「南極の海洋生物資源の保存に関する条約」(CCAMLR)、1991年には「環境保護に関する南極条約議定書」がそれぞれ採択された。このうち「環境保護に関する南極条約議定書」は南極の環境と生態系を包括的に保護することを目的としたもので1998年に発効した。これらの条約、議定書と勧告とで構成される法的枠組みを南極条約体制という。

これらの条約を担保するために国内法が制定されており、日本の南極観測では、その国内法に則ることにより南極条約等を遵守することになる。例えば、「環境保護に関する南極条約議定書」については、国内法として1997年に「南極地域の環境の保護に関する法律(南極環境保護法)」が制定された。漁業などの特定活動を除き、南極で観測隊が計画している観測計画・設営計画について環境大臣に「確認申請」を提出し、確認後「行為者証」を受けて南極条約地域(南緯60度以南)で活動を実施している。

外部リンク

南極条約第9条で規定されている南極条約の締約国会議。南極条約の趣旨に則り、「情報を交換し、南極地域に関する共通の利害関係のある事項について協議」する。1961年の条約発効後1994年までは概ね1年おきに開催されたが、それ以降は毎年開催されている。各締約国が出席するほか、ATCMに対してそれぞれの立場で助言する南極科学研究委員会(SCAR)、南極の海洋生物資源の保存のための委員会(CCAMLR)、南極観測実施責任者評議会(COMNAP)がオブザーバーとして、また南極および南大洋連合(ASOC)、国際南極旅行業協会(IAATO)等の専門家が招待されるが、提案される措置、決定等は協議国のみにより全会一致で採択される。

2014年現在29ある協議国が原則英語のアルファベット順に開催し、日本は第6回(1970年10月東京)、第18回(1994年4月京都)の2回開催した。2014年の第37回会合はブラジリアで4月28日から5月7日にかけて開催される。

外部リンク

環境保護に関する南極条約議定書の第11条により規定される委員会で、第12条に示す次の事項に関してATCMに助言を与える。

a) この議定書に従ってとられる措置の効果
b) この議定書に従ってとられる措置を状況に応じて改定し、強化し又は改善する必要性
c) 適当な場合には、追加的な措置(附属書の追加を含む)の必要性
d) 第8条および附属書I に規定する環境影響評価の手続の適用および実施、
e) 南極条約地域における活動の環境に対する影響を最小にし又は緩和する方法
f) 緊急措置を必要とする事態についての手続き(環境上の緊急事態における対応措置を含む、
g) 南極保護地区制度の運用および改善
h) 査察の手続き(査察の報告書の様式及び査察の実施のための点検項目の一覧表を含む)
i) 環境保護に関する情報の収集、蓄積、交換及び評価
j) 南極の環境の状態
k) この議定書の実施に関連する科学的調査(環境の監視を含む)の必要性

第1回目の委員会は議定書が発効した1998年に開催されるようになったが、1994 年から議定書の発効後の諸準備のため、暫定的環境作業部会(TEWG)として議定書に関する事項について検討を行った。また、南極特別保護地区等の管理計画を定期的に見直す等、必要な作業の量が多いこともあり、テーマ毎に会期間に電子的に意見交換が行われて報告されている。環境省が対応している。

外部リンク

1977年の第9回ATCMで、南極の海洋生物資源の保存に関する条約を採択すべきことを締約国に勧告し、「南極の海洋生物資源の保存に関する条約」が1982年に発効した。原署名国の日本は1980年に署名し、日本を含む24か国と一つの地域(EU)が加盟している。適用水域は南極条約地域と一部異なり、条約で詳細に規定されている。この条約で規定されている「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会」ではオキアミ、メロ(マゼランアイナメ)等の南極海洋生態系に属する海洋生物資源の保存(合理的利用を含む)のため、毎年科学委員会の下の作業部会での検討をふまえ、コミッショナー会合で海区毎の漁獲割当や保存管理措置を決め、資源管理をおこなっている。事務局はオーストラリアのホバートにあり、日本では主として水産庁が対応している。

南極の海洋生物資源というと、古くから捕獲されていたアザラシや鯨類が頭に浮かぶが、捕鯨については国際捕鯨取締条約が1946年に採択され、1948年に発効していて日本は1951年に加入し、そちらの枠組みで協議されている。

外部リンク

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は1988 年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立され、人間活動による気候変動、その影響、適応及び緩和策について科学的、技術的、社会経済的な観点から包括的な評価を行う事を目的とした専門家で作る学術的な政府間組織。1)自然科学的根拠、2)影響、適応、脆弱性、3)気候変動の緩和、について評価する三つの作業部会と温室効果気体の目録(インベントリー)に関するタスクフォースがあり、2013年に第5次評価報告書を発表した。世界中の数千人の専門家の科学的知見を集約した報告書で、第1作業部会報告書の政策決定者向け要約(SPM)が作成され、各国の政策決定に大きな影響を与える内容となっている。

第4次報告書(2007)までは極域の科学的知見が余り取り入れられなかったため、南極研究科学委員会では2009年に”Antarctic Climate Change and the Environment”をとりまとめ、2013年には改定版を公開している。
以下のURLでダウンロードできる。
http://www.scar.org/publications/purchase/#purchaseACCE

外部リンク

1996年のオタワ宣言に基づき、北極圏に係る共通の課題(持続可能な開発、環境保護等)に関し、先住民社会等の関与を得つつ、北極圏諸国間の協力・調和・交流を促進することを目的として、ハイレベルの政府間協議体として設立された。加盟国は北極圏諸国8か国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国)及び常時参加者として北極圏諸国に居住する先住民団体、さらにオブザーバーとして政府間・地域間・議員間組織:9団体と非北極圏諸国12か国(フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン、オランダ、英国、日本、中国、インド、イタリア、韓国、シンガポール)がある。日本は2013年オブザーバー国として参加承認された。閣僚会合、副大臣会合、高級北極実務者会合、分野別作業部会が開かれる。2013年より2年間、カナダが議長国を務める。現在、次の6つの作業部会が活動中である:北極圏汚染物質行動計画作業部会(ACAP)、北極圏監視評価プログラム作業部会(AMAP)、北極圏植物相・動物相保存作業部会(CAFF)、緊急事態回避、準備及び反応作業部会(EPPR)、北極圏海洋環境保護作業部会(PAME)、持続可能な開発作業部会(SDWG)。日本はAMAP及びCAFFに出席している。

外部リンク

非政府間組織

南極観測の支援を管理する際に、最善の方法を開発・促進することを目指し、各国の南極観測を実施する機関の責任者が集まり、1988年に発足した。毎年総会を開き、設営・輸送・安全といったオペレーションに関する連携強化、および情報交換をおこなっている。2014年現在、南極での観測活動を実施している29カ国が加盟し、事務局はニュージーランドのカンタベリー大学内にあり、事務局長1名が専任職員として事務に当たっている。南極条約協議国会議(ATCM)や環境保護委員会(CEP)からの諮問への対応や実際の南極における実務的・技術的な討議を行なっている。

日本のCOMNAP代表は国立極地研究所の所長が務めている。2014年の年次総会は8月27〜29日にかけ、ニュージーランドのクライストチャーチで開催されるほか、「国際協力を通した成功」とのテーマでシンポジウムが計画されている。

外部リンク

国際科学会議(ICSU)傘下の委員会の一つで、南極の研究観測における国際共同プロジェクトの立案、推進、調整を担うほか、南極条約協議国会合(ATCM)や環境保護委員会(CEP)等へ科学的助言を行っている。1957年〜58年のIGYで実施する南極観測を調整するためにICSUにより設けられた「南極研究特別委員会」が発展した組織。

SCARには三つの常置科学グループ(地球科学、生命科学、物理学)、4つの常置委員会(南極データ管理、南極条約体制、南極地理情報、財務)があるほか、三つの科学分野毎に科学研究課題グループ、専門家グループ、アクショングループがある。

2014年現在、SCARの科学研究課題は6つあり、
1)南極からの天文、天文物理(AAA)
2)南極生態系の状態(AntEco)
3)南極の閾値—生態系の強靱性と適応(AnT-ERA)
4)21世紀の南極気候変動(AntClim21)
5)過去の南極氷床のダイナミクス(PAIS)
6)固体地球の応答と雪氷圏進化への影響(SERCE)
となっている。

日本は当初から正会員で、日本学術会議では、現在、地球惑星科学委員会・国際対応分科会・SCAR小委員会が対応している。事務局はケンブリッジ大学のスコット極地研究所内にあり、2014年8月下旬から、2年毎に開催する総会がニュージーランドのオークランドで開かれる。

外部リンク

1966年の国際科学会議(ICSU)総会で連合間委員会として設立され、1978年以降は通常の科学委員会となっている国際科学組織。太陽地球系物理学(STP:Solar - Terrestrial Physics)において、地球惑星科学の分野間にまたがる広い領域で、一定期間にわたる国際学術協力事業を提案・実施する。また、国際研究集会を企画・開催し、さらに各種プロジェクトで得られるデータを、世界データセンター(WDC:World Data Center)を通じて広く研究者に発信している。 このSCOSTEPに対応する国内組織は、日本学術会議・地球惑星科学委員会・国際対応分科会・SCOSTEP小委員会。

外部リンク

ICSUの下で活動している、北極域の科学を検討する評議会である。2015年現在、23ヵ国(カナダ、米国、ロシア、アイスランド、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、フランス、英国、ポーランド、スペイン、オランダ、イタリア、チェコ、日本、韓国、中国、スイス、インド、ポルトガル、オーストリア)が参加している。現在の委員長(2014年)はカナダのDr. David Hikである。極域科学では、南極科学研究委員会SCARと対をなす。国内では学術会議対応小委員会がある。IASCでは5つの作業部会(WG)(大気、海洋、陸域、雪氷、社会・人文)を設置し、ワークショップを通じて科学優先テーマを検討、提示していく。6つ目のWGの準備として地学が活動を開始した。北極の長期研究計画に関する国際会議(International Conference on Arctic Research Planning: ICARP)も10年毎に開催している。持続的北極観測ネットワーク(SAON)はICARPでの提案により活動を開始した。

外部リンク

1998年に北極圏の観測実施と運用に関するフォーラムとして設立された。11ヵ国の24の観測期間から構成されている。年会合が北極科学サミット週間(ASSW)において開催される。FAROでは北極観測実施に関する意見交換、新たな観測手法の提案などを行ない、効果的な観測を目指す。2013年の参加国はカナダ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、英国、アイスランド、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、ポーランド、韓国、スウェーデン、チェコ、ロシア、米国の18か国である。FAROは国際北極科学委員会(IASC:International Arctic Science Committee)と連携して活動する。現在の議長はMagnus Tannerfeldt(Sweden)氏である(2014年)。

外部リンク

2004年、日本、中国、韓国の極地研究所の所長が合意して結成。この背景には、1980年代に中国と韓国が南極観測を始めるに当たって、アジアで唯一南極での設営・研究経験がある日本の助言、支援を通じて育まれた3ヶ国の強い連携がある。

その後、インド、マレーシアが加盟し、オブザーバーとしてタイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンから研究者が参加した。極域科学における国際協力の重要性を認識し、各国共通の関心事項を推進することを目的に、1)アジア諸国の極地共同研究活動の基盤の提供、2)アジア極地活動の国際極域社会への発信、3)アジア諸国の極地研究への奨励、をメンバー国が連携して取り組む。2年毎に議長国を交代し、韓国、日本、中国、インド、マレーシアと2014年で一巡し、2014年10月にはマレーシアで創設10周年記念会合を予定している。

ページの先頭へ