大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所

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研究活動 研究グループ

極地工学研究グループ

極地観測をバックアップする
テクノロジーの探求

グループ長 本吉洋一

極地工学のミッション

極地で研究観測を行う場合、厳しい寒さ・強風・積雪への対策が課題となります。また、輸送の手段が限られているため、限られた燃料・食料・資材等をいかに有効活用するか、また最近では、周辺の環境への影響をいかに小さくするかも大きな課題です。極地工学では、これら極地観測に付随する様々な技術的課題の解決に取り組んでいます。

氷床上に建物を立てるための基礎研究

南極大陸のような氷床上に建造物を設置すると、次第に建物が傾いてゆく不具合が発生します。これは建物周辺の吹きだまりによる沈降力の影響で、雪地盤が不均等に沈むためです。この現象を克服するため、ドームふじ基地で実際の構造物を使った圧雪地盤基礎の施工実験を行いました。建物の傾斜が時間と共に変化していくデータは、氷床上の基礎工法の開発を行う上で貴重なものとなります。

現地でエネルギーを創るための研究

昭和基地の燃料消費は、基地の大型化や観測の多様化の影響により年々増加しています。一方で、輸送船が運べる燃料には限りがあり、今後は備蓄量が綱渡り状態となることが予想されています。この状況を改善するため、太陽光や風力のような再生可能エネルギー利用を増やし、化石燃料だけに頼らない取り組みが行われています。その一環として、太陽電池パネルの効率的な設置方法や表面の劣化対策に関する研究も行っています。

昭和基地でディーゼルとの連系運転を始めた20kW風車

再生可能エネルギーの安定利用に関する研究

太陽光・風力で発生した電力は、日照条件や風速などにより大きく変動する性質を持っています。いっぽう、昭和基地の電力のほとんどは、軽油を利用したディーゼル発電機で生み出されています。変動が激しい再生可能エネルギーとディーゼル発電機を同時に用いるためには、「系統連系」と言われる技術が必須となります。系統連系はそれ自体が一つの大きな技術的課題となっており、現在、各種の技術を調査し、次世代の電力供給方法を研究しています。

余剰電力の備蓄と利用に関する研究

再生可能エネルギーによって一時的に余剰な電力が得られた時、それを棄てずに備蓄できれば一層効果的に使うことができます。電気エネルギーを備蓄する手段には、有機ハイドライド技術や蓄熱技術があり、これら技術は国内で実用段階に入っています。我々はこれらの技術の南極への導入を目指して、大学や民間企業と連系して研究を進めています。

新たな造水方法に関する研究

飲料などの生活水を確保するために、昭和基地ではこれまで周辺の雪を溶かすことで造水していました。しかし、氷点下の雪氷を用いた造水には膨大な熱量が必要で、昭和基地では常時約100kWの熱量を使っています。海水を逆浸透膜法で淡水化すれば、電力が少なくなるだけでなく、造水タンクへの雪の投入などの労力も軽減できます。この方法の実現に向けて、配管の温度管理、海水の汲み上げ技術などを研究しています。

無人観測に関する研究開発

極地で人間が活動する場合、それ自体が環境へのインパクトとなり、またエネルギの消費を伴います。省電力で信頼性の高い無人観測装置の開発は、環境・エネルギー利用の両面において有利です。我々は宇宙観測技術の転用などを通してその技術開発を継続して行ってきました。今後は無人飛行機や小型電力源などの利用も行っていきたいと考えています。

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