温暖化する北極域から見るエネルギー資源と
食に関わる人間の安全保障
研究課題代表者:高倉 浩樹(東北大学)
概要
北極域環境の変化は、エネルギー資源、水産・農業生産、流通を左右するため、先住民社会を含む北極域人間社会の食料確保、さらには非北極域社会の食料消費のあり方に影響を与えます。
本研究では、地球温暖化が北極域へ与える影響を土壌や生態系等の地域生態系レベルで評価するとともに、人類のエネルギー資源と食という観点から解明することを目的とします。
研究内容としては、凍土や生態系の荒廃度評価、エネルギー資源開発の経済社会的評価、生物生産の変化による先住民社会を中心とした社会文化影響の3つの領域を探求します。
非北極圏社会と北極域社会の交流、特に日本を含めた東アジア諸国からの視点に留意し、北極域からの東アジアへの影響を分析するとともに、東アジアの政治経済動態が北極域の環境保全にどう影響するかを分析します。
また北極域の人間の安全保障に関連し、脅威からの自由、欠乏からの自由、尊厳を持って生きる自由の実現に向けた学知の解明を目指し、その成果を北極域の地域社会や自治体等に、ワークショップや展示等の企画、出版物といった媒体で発信します。
調査研究を進めるにあたっては、ロシアの研究者・研究機関、地域・地方自治体政府だけでなく、北極域研究で実績のあるフィンランドやドイツ、イギリス、アメリカ等の研究者・研究機関、東アジアとの関わりについては中韓の研究者とも連携を図ります。