ArCS IIイベントシリーズ・実験教室「シベリア永久凍土から明らかになる温暖化?」を開催しました
ArCS IIの最終年度である2024年度は、代表機関の国立極地研究所の南極・北極科学館を中心に、ArCS IIイベントシリーズ「ようこそ、北極へ!」を、年間を通して行います。夏休み期間の2024年7月26日(金)には、矢吹 裕伯氏(国立極地研究所)を講師に迎え、中高生を対象とした実験教室「シベリア永久凍土から明らかになる温暖化?」を実施しました。
まず最初に、極地研の紹介を行うとともに、北極についての基本的な知識を共有するためにクイズをとりいれながら進めると、予想と違った解答に関心を持ってくれたことが伝わってきました。次に、地球温暖化とはどのようなことか、永久凍土とはどのようなものか、日本にも永久凍土があることなどを具体的に紹介し、温暖化によってシベリアの永久凍土内に含まれる氷が解けている現状をスライドで紹介しました。
実験では氷をとかすのに必要なエネルギーを体験してもらうため、お湯や水・氷を用意してそれぞれを混ぜたり、温度を計ったり、そして計算をしてもらいました。温度変化と計算で出た値を比べながら実際の温暖化に使われるエネルギーの大きさを想像してもらいました。
その後、実験を振り返りながら、永久凍土が融解することで、凍土中に閉じ込められていたメタンが発生すること、土壌の崩壊が凍土地帯に住む人の暮らしに影響を与えることの紹介を行いました。最後の質疑応答の時間には、「永久凍土の観測は、いつ、どのくらいの期間行くのか。」「北極で研究するのに体力は必要か。」「氷の中のメタンはどこから来たのか。」「極地の研究をするには何を学べばいいのか。」「どうやったら極地研に入れるのか。」など、多くの質問が出ました。
参加者アンケートには、「永久凍土はただの氷だと思っていたけど、メタンが泡みたいに入っているというのが心に残った。」「氷をとかすのには意外とエネルギーが必要だと思った。」「永久凍土の氷の生物について調べてみたい。」「地球温暖化によって寒い地域の人々の生活が悪化することを考えていなかったが、インフラへの影響があることを知れてよかった。」「今回のテーマを自由研究で使いたい。」などの感想が寄せられ、参加者の北極やその研究、地球温暖化への興味・関心をさらに引き出すことができました。