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アラスカ州フェアバンクスにおけるダイヤモンドダストの現地調査

若手人材海外派遣プログラム参加者:2024年度短期派遣
大木 聡子(富山大学)

2024年11月14日から12月10日までの約3週間、私はアメリカ合衆国アラスカ州フェアバンクスに滞在し、ダイヤモンドダストの現地観測を行いました。ダイヤモンドダストは、一般的に風のない晴れた冬の日に小さな雪の結晶(氷晶)がキラキラと輝く現象とされています。しかし、その発生実態については文献によってあいまいで、実際どのような条件下でダイヤモンドダストが見られるかはよくわかっていません。一方、北極域は地球上で最も気候変動が顕著な場所の一つとして知られています。このような場所でダイヤモンドダストという低温時に見られる現象が今現在どのように発生しているかを調べるために、今回は極域に近いアラスカ州フェアバンクスを訪れました。具体的にはアラスカ大学フェアバンクス校の構内にタイムラプスカメラを設置し、ダイヤモンドダストが発生した際には、動画や写真撮影に加えてデジタル顕微鏡による観測を行いました(写真1)。また、大学構内に温湿度計も設置し、周辺の気象データの記録も行いました。

(写真1)デジタル顕微鏡を用いた接写撮影の様子

滞在中、11月27日の1回だけダイヤモンドダストを観測することができました(写真2)。この時はダイヤモンドダストと共に、非常に低温な状況下で太陽の方角に見られる虹(サンドッグ)も見られました。また、11月27日と28日には空気中を漂う氷晶の接写撮影にも成功しました(写真3)。今後は観測記録をもとに発生状況の整理やリモートセンシングデータを用いたさらなる解析を予定しています。

(写真2)滞在中に観測されたダイヤモンドダスト(サンドッグの手前で光っている白い粒)
(写真3)氷晶の接写画像

冬のフェアバンクスは平均気温が-15℃ほどと非常に厳しい環境で、寒さに慣れるまでがとても大変でした。最も気温が低いときには-36℃という気温で、寒さのあまり機器の故障なども発生してしまい苦労も多かったです。その一方で極域でしか見ることができないオーロラ(写真4)や、アメリカの祝日であるThanksgiving(感謝祭)での催しに参加することで、研究面と生活面の両方で非常に充実した日常を送ることができました。

(写真4)オーロラの様子

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