東シベリア スンタル・ハヤタ氷河観測チーム 観測便り

東シベリア氷河調査第2期隊観測参加報告(2012.8.2)

現在地:スンタル・ハヤタ氷河(北緯62度36分、東経140度50分)

第2期隊メンバー:
日本隊:高橋修平、白川 龍生(北見工業大学)
ロシア隊:Fedorov Alexander、Konstantinov Pavel、Galanin Alexey、Fedorov Kolya(永久凍土研)、Desyatkin Alyosha、Fedrov Pavel(北方生物問題研究所)、Vasiliy Shishkov(地理学研究所)

図1 第2期隊の飛行ルート

第2期隊は、ヤクーツクを出発してNo.31氷河を経由して南部のNo.148氷河に向かいNo.31氷河に戻りヤクーツクへ戻るルートです。

第2期隊は主として主調査氷河(No.31氷河)より南部に位置するこの地域で一番面積の大きいNo.148氷河での気象測器の設置と短時間の調査を行います。また食糧の補給及びロシア人メンバーの交代を行います。これらの日程を1日でこなすかなりハードな日程でした。

8月1日(水)

09:30 永久凍土研究所スタート。車はバン、トラック、乗用車の3台。
10:30 Kildyamtsy(ヤクーツク空港の北、約20km)着草原地帯で燃料持ち込みがあるのでここで待ち受ける。ほどなくヘリがやってきて荷物積み込み。
10:48 ヘリコプター出発。
12:42 チョープリクルーチ空港着。本来ここで給油してすぐに飛ぶはずが、煙による視界不良のため、今日は飛べないとのこと。

図2 ヤクーツクで荷物を積み込みます、主に食糧の補給になります。

8月2日(木)

朝は7時頃からぱらぱらとパンやインスタントラーメンで朝食。

09:20 出発との号令がかかる。
09:58 ヘリ、チョープリクルーチ出発。初めは視界は無かったが、山間部にはいると次第に下が見えてきた。
11:00 BC着。第1期隊メンバー(門田さん、日下君、宮入君、田中君)皆、真っ黒でヒゲもはやしており、とても元気そう。ローターを回したまま、大急ぎで荷物を降ろし、人員の入れ替えを行う。

図3 No.31ベースキャンプに到着、第1期隊のメンバーが待ち構えています。荷物を降ろした後、南部山塊のNo.148氷河へ向かいます。

図4 No.31ベースキャンプの様子、青い食堂テントと作業テントが並びます。緑いろの小さなテントは個人テントです。奥に見えるのがNo.31氷河です。

11:12 BC発。途中、氷河キャンプに、米20kg、缶詰類、テント、ステーク資材を降ろす。
12:00頃 No.148氷河へ。どこへ降りるかは操縦席のところに立って、指示を出す。稜線上にAWS(無人気象観測装置)を設置のつもりだったが、氷河の側から見ると、ずっと八本歯のコルのようなギザギザ稜線が続き、ヘリは降りられそうも無いのでAWSはサイドモレーンに立てることにして氷河上部の平坦になったところで着陸指示。

観測時間は1時間。氷河班は、ステーク立て、カメラ2台、温度計設置。さらにアイスレーダーによる調査をしたとのこと。(門田、日下、田中、フョードロフ、アリョーシャ、ガラーミン、ピョートル)

図5 ヘリはBCで荷降ろしした後にNo.31氷河に向かいます。氷河キャンプでも必要な物資を下します。

AWS班は、横の方にあるサイドモレーンの頂部に測器をたてることにする。氷河上を丘へ向かう分時間が余分にかかる。風向風速計、気温、湿度計、カメラ、日射計を無事設置終了。

図6 AWS設置場所から見るNo.148氷河です。

13:10 とにかく終了してNo.148氷河発。No.31氷河に向かう。途中で白川さんが、GPSによるとBCとは違う方向に行っていることに気付く。フョードロフさんに言うと、「パイロットは知っているはず」と悠然としていたが、あまりに着かないので言いに行くとやはり「チョープリクリルに向かっている」とのこと。門田さんが「なぜ?」と聞いてもわからないとのこと。みんな、「え~っ」とのこと。
14:40頃 結局、チョープリクリルへ逆戻り。
15:00 給油後、日本人メンバー、フョードロフさんなど氷河にこれから入る班は再び、BCへ向かう。ヤクーツクに戻る組(高橋)は、チョープリクリルでしばし過ごす。
19:00 ヘリが戻って来て、ヤクーツクへ出発。
21:00 マガン空港(ヤクーツク)着。迎えの車が来ていて、屋根にも荷物を積んで8名出発。
22:30 ヤクーツク・ホテル到着。

今回いろいろとありましたが第2回目のヘリオペレーションは無事終了しました。現在No.31氷河では日本人隊員として第1期隊メンバーの門田勤(JAMSTEC)、日下稜(北見工業大学)田中聡太、宮入匡矢(千葉大学)と第2期隊メンバー白川 龍生(北見工業大学)が8月末まで観測を続けます