太陽が昇らなくなって20日ほど経ったこの時期、10時頃にようやく明るくなりはじめ14時頃にはもう暗くなってしまいます。曇りや雪の日はさらに暗く、12時でも外灯が欲しいほどです。日が最も短くなる(既に太陽は全く昇っていないので、昼間の薄明の時間が最も短くなる日といった方が正しいでしょうか)6月21日(ミッドウィンター)は、南極中の基地で、これまでの無事を祝福しそしてこれからの無事を願い、各種行事(ミッドウィンター祭)を行います。各国の基地の間では、ミッドウィンターカードを電子メールやファックスでやりとりします。各基地それぞれ意匠を凝らしたカードを眺めていると楽しくもあり、また同じ極夜を過ごしている隣人がいることを思うと心強くもあります。
なかには基地でのディナーにご招待とのカードもあります。現地までの交通手段は自前で用意しなくてはなりませんがパスポートは必要ありません。各基地から送られたミッドウィンターカードを見ていると気がつくことがありませんか?そう、どこの基地のカードにも国旗が描かれていないのです。南極は南極条約によって領土権が凍結されている場所。したがってミッドウィンターカードにも領土権を主張する国旗が描かれていないのです。昭和基地は他の基地と離れた場所にあるので他国の基地の隊員と実際に会って交流することはできませんが、国という垣根を越えて同じ南極という厳しい環境の中で観測や研究という共通の目的を持って過ごしている仲間がいることに勇気づけられます。
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