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昭和基地NOW!!

 

食器を洗った水の行方

2014年2月25日

グリストラップの清掃
週に2回隊員が当番制で油分を取り出す作業を行います。この作業を経験するとお皿の汚れはきれいにしてから洗い場に持っていくようになります。この日の当番は隊長でした。

食器を洗うとその排水はどこに行くのでしょうか?
 日本の場合、生活排水は自治体等によって適正な処理がされています。しかし、ここは南極。自分たちで汚したものは自分たちで処理するしかありません。

さて昭和基地の生活排水はいったいどうなるか?
 その流れを追ってみましょう。

まずキッチンの排水は①「グリストラップ」という装置で野菜くずや残飯などの生ゴミを受けるとともに、水と油の比重差により油脂分が取り出されます。
 次に油脂分を取り除かれた排水は②「ポンプ槽」そして汚水処理棟の③「原水槽」でトイレ排水と合流します。
 さらに④「沈殿分離槽」と⑤「接触ばっ気槽」で微生物(バクテリア)によって汚れが分解され、沈殿物(底部汚泥)と浮上物を分離し、処理水として生まれ変わります。
 そして処理水は、日本の下水処理施設の放流水と同程度の水質になったことを環境保全隊員が確認し、昭和基地の岸から海に放流されるのです。

これらの作業は環境保全隊員を中心に全隊員が協力しながら行っています。南極の自然に及ぼす影響をできるだけ小さくするために、このような水処理作業もなくてはならない作業なのです。

汚水処理棟にある原水槽
昭和基地(主要部)の生活排水は汚水処理棟の原水槽に集められます。とても大きな水槽です。

水質検査の様子(ばっ気槽)
ばっ気槽の上部で水質チェックをする環境保全隊員。処理水は定期的に水質検査を行っています。

汚泥脱水機
汚水処理の過程で発生する汚泥を取り出して脱水します。これらを焼却処理して残った灰は日本に持ち帰ります。

水質検査の様子(処理水)
環境保全隊員は処理水の水質を保つため常に気を配っています。

2014年2月25日の気象情報

天気 日の出 日の入 最高気温 最低気温 最大風速
4:44 20:23 -0.2℃ -6.4℃ 14.2m/s

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