大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 南極観測のホームページ

昭和基地NOW!!

 

南極からの電波、日本まで届け!こちらは「8J1RL」

2019年5月5日

JA1RLを呼び出し中
諦めずに何度もコール

ゴールデンウイーク後半の5月5日、東京都内大塚の日本アマチュア無線連盟(JA1RL)に集まった子ども達等を対象として、アマチュア無線の短波回線(21MHz)を使用して交信を行う「ゴールデンウィーク期間の特別運用」を行いました。

短波は電離層の反射を利用して通信を行いますが、4月末から電離層の状況が悪い状況が継続しており日本との交信は絶望的な状況でした。それでも日本で待っている子ども達の期待を何とか叶えてあげたいため、普段は食品乾物保管庫に置かれてあるアマチュア無線局を通信室へ移動させました。

以前は昭和基地と日本との間で短波を利用した交信が行われておりましたが、現在は衛星通信に役割を交代しています。現在でも昭和基地~オーストラリア近郊までは南極観測船「しらせ」との定時交信に短波を使用しており、無線設備は適切に維持されていますので業務用通信設備の受信機を併用しました。

日本時間の17時から日本側のJA1RLの呼出しを開始。日本側も昭和基地の8J1RLを呼出しますが、無線機からは雑音だけで何も聞こえませんでした。諦めずに30分程呼出しを継続していると、親切な東海地方のアマチュア家の方から「日本まで届いていますよ!」とサポートをいただきました。しばらくすると雑音の中から何か聞こえはじめました。みんなでヘッドホンやスピーカー前で耳を澄ませて子どもさんらしい声を聴き分けます。なんと!徐々に信号が鮮明になってくるではないですか。通信室では大歓声が上がりました。

しかし、電離層の状況が一定でないため長い周期で信号に強弱があり、一時的には何も聞こえなくなったりとして時間がかかりましたが、小学2年から高校1年までの9名の子どもさんと無事に交信を終えることが出来ました。その後も10名の子どもさんと交信したところで無線機からは何も聞こえなくなりました。奇跡的に1時間半ほど電波伝搬が良くなって日本の子ども達との交信が大成功に終わりました。来年の帰国後には交信した証としてQSLカードが子ども達に届けられます。このカードは子どもさんにとって一生の思い出になってくれるでしょう。

8J1RLは不定期ですが、日本(東京)から大圏距離約14000㎞離れた昭和基地から運用いたします。多くの皆様と交信できることを楽しみにしています。

交信中の様子
コンディションが安定しており、順次メンバー交代して運用

アマチュア無線用アンテナと19広場
昭和基地のこどもの日は元気良く鯉のぼりが泳いでいた!

2019年5月5日の気象情報

天気 日の出 日の入 最高気温 最低気温 最大風速
雪時々曇 9:20 15:16 -7.7℃ -12.7℃ 11.1m/s

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