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昭和基地NOW!!

 

昭和基地のお風呂掃除

2019年10月12日

普段の風呂
普段は竹の湯の看板とのれんがかかっています。

10月12日、昭和基地で毎月1回行う恒例の風呂掃除を行いました。

60次隊31人の内、最低7人の協力が必要な大仕事です。と言うのも、風呂掃除と言ってもお湯を貯める浴槽の掃除はもちろんですが、循環する配管設備など一式の清掃をする為です。今日は、そんな生活の一コマを紹介いたします。

昭和基地の周囲には、常に水の流れる川や水の湧き出る泉もありません。また、年平均気温がおおよそマイナス10℃位の冷凍庫の中のような環境の為、水は雪と氷でしか存在しません。その為、水は非常に貴重で、発電に伴う排熱を利用したコ・ジェネレーション設備で雪を溶かし、更に脱塩処理をして、ようやく生活用水ができます。その為、湯船のお湯も簡単には捨てられないので、循環設備で処理をして大切に使っています。

そんな訳で、お風呂掃除は、普段はお湯を貯めていて清掃できない浴槽や循環する配管内を月1回高圧洗浄機で清掃をする大仕事となります。

まず、始めは、早朝に機械設備隊員が、スケール除去剤を投入して、循環させます。3時間程循環させた後、お湯を抜き、配管の洗浄を始めます。お湯を循環させる配管は、浴槽から、ろ過昇温装置まで往復していますが、何度も曲がる上、片道20mくらいの長さがある為、高圧洗浄ホースを浴槽側の口から入れただけでは奥まで入っていきません。その為、曲がる箇所毎に配管を分解してホースを通していく必要があります。ホースを通した後、再度、配管を組み立て直して、ようやく洗浄が始められるようになります。何か所もの曲がりを通過する為、ホースを引く力もかなり必要となり、この作業は、力自慢の隊員の協力を仰いで行っています。高圧洗浄で、配管内の汚れを取った後は、再度、お湯を張り普段の浴槽に戻します。

この月一回の清掃が終わった後は、恒例の女性隊員限定の『梅の湯』をオープンさせています。60次越冬隊員には、5名の女性隊員がいますが、普段は、家庭用の小さなお風呂を使っています。皆で協力して清掃してきれいになった後には、少し大きい、普段は男性隊員が利用しているお風呂を一番風呂で利用してもらいリラックスしてもらっています。

昭和基地では、24時間観測をしている為、夜勤をしている隊員もいます。そんな隊員も仕事終わりに湯船に入りくつろげる様に24時間365日お風呂も沸かして開放をしているので、極寒の地でも、お風呂は日々の疲れを癒す場となっています。

風呂掃除の協力者募集
仕事の都合がつく人を募集します。

風呂清掃作業中
配管を外して、洗浄ホースを通します。

風呂清掃作業中
高圧洗浄機を操作する隊員と高圧ホースを引っ張る隊員と息を合わせて作業をします。

風呂清掃作業中
ろ過装置周りの清掃をする隊員。

風呂清掃作業中
熱交換器周りも分解洗浄します。

風呂清掃作業中
ろ過昇温装置へ接続される配管は、往復の2本あります。

風呂清掃終了後
浴室は、木の内装材を使用した趣ある浴室となっています。

風呂清掃終了後
風呂には窓もあり、外の景色も見ることができます。

梅の湯案内
清掃後の一番湯は女性隊員に楽しんでもらう為、『梅の湯』として開放します。

梅の湯看板
梅の湯の看板も過去の隊員が作成した趣あるものです。

2019年10月12日の気象情報

天気 日の出 日の入 最高気温 最低気温 最大風速
雪一時曇 4:40 19:39 -9.8℃ -13.5℃ 13.7m/s

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