しらせ船上での大気中O2/N2及びCO2濃度の連続観測

課題番号:AAS6103
代表者:森本 真司(東北大学)
実施期間(隊次):61次隊

大気中の酸素(O2)濃度(酸素・窒素比:O2/N2比)は、重要な温室効果気体である二酸化炭素(CO2)の変動と密接に関連して変化しています。例えば、化石燃料の燃焼によって大気中にCO2が放出される時には同時にO2が減少し、陸上生物圏の光合成・呼吸によるCO2固定・放出時にはO2が放出・吸収されます。また、大気中のO2濃度も大気—海洋間のO2交換によって変化することが知られています。そのため、大気中のO2/N2比とCO2濃度の高精度同時観測から、地球上でのCO2・O2収支に関する新たな情報が得られます。しかし、この両者を精密に定量することは容易ではなく、特に南半球での観測は非常に限られていました。

南極観測船「しらせ」は、オーストラリアー南極昭和基地間を毎年ほぼ同じ航路で往復し、南大洋インド洋セクターの海洋大気を観測する上で最適の観測機会を提供してくれます。本プロジェクトでは、独自に開発したO2/N2比およびCO2濃度連続観測装置を「しらせ」に搭載して、「しらせ」が12月にオーストラリア・フリーマントルを出航してから翌年3月にシドニーに寄港するまで連続して大気中のO2/N2比およびCO2濃度の観測を行っています。「しらせ」船上での精密観測を継続することによって、観測空白域におけるO2とCO2の時空間変動が明らかになりつつあります。

「しらせ」第1観測室に設置した大気中O2/N2およびCO2濃度連続観測装置