今年の8月20日から10月5日の期間、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が所有する海洋地球研究船「みらい」は北極海における観測航海を実施します。私たちは「みらい」へ大気中の温室効果ガスの観測システムを設置するために静岡県の清水港を訪れました。
北極域の環境は気候の温暖化に対して脆弱であると考えられており、気温の上昇が北極域からの温室効果ガスの放出量をさらに増加させる可能性も指摘されています。私たちの研究の目的は、進行しつつある地球温暖化に関連して引き起こされる北極域での大気中温室効果ガスの濃度の増加を早い段階で検出することにあります。
設置作業では、まず大気取り入れ口(写真2)を上甲板の前部に位置するマストに固定し、大気採取用の配管を大気取り入れ口と観測用船室の間に敷設しました。その後、大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化炭素の連続観測システム(写真3)と大気サンプリングシステムを観測用船室に設置しました。船室はエアコンが効いていて快適ですが、上甲板では灼熱の太陽の下地獄の暑さでした。私はペットボトルの水を2本飲み干してしまいました。
観測システムは無事に設置され、北極圏航海中大気データを生み出し続けることでしょう。仕事のあとは夕食に海の幸をいただきました。清水では桜エビと生シラスが有名で、これがビールに合うのです!
遠嶋康徳・国立環境研究所(テーマ3実施担当者)
※本年度の「みらい」北極航海はArCSの一部として実施されています。航海の情報は「みらい北極航海ブログ」でもご覧いただけます。