フェノスカンジナビア森林センサスチーム

林の下は氷河の運んだ巨礫か、泥炭です。(2013.6.4〜7、2013.6.20〜23)

現在地:フィンランドーロシア国境付近、エストニア西部
チームメンバー:大澤、アン、小野、梶本、松浦

ヴァリオの研究宿泊棟:ログハウス風の小屋。中はピカピカ。15人ぐらいは滞在できる。(6月4日)

池とサウナ棟:暑いサウナからドボンと池に飛び込んでいた。(6月4日)

国境近くのトナカイ移動防止柵:標高が高い場所は灌木ツンドラ。遙か北に森林は続く。(6月5日)

典型的なポドゾル土壌:巨礫があってこれ以上掘れない。(6月6日)

エストニア西部のヨーロッパアカマツ林:林の下は数mの泥炭。(6月22日)

Histosol(泥炭質土壌)の断面:深さ約70cmから古い株が出現。数千年前の株と思われる。(6月22日)

未舗装の車道終点から岩だらけの山道を8キロ歩くと、やっとヘルシンキ大学が管理するヴァリオ研究宿泊棟が姿を現します。斜面を下ると池があり、岸辺にはサウナが建てられています。ここはフィンランドとロシアの国境間近の森林北限近く。国境にはトナカイ移動防止柵(reindeer fence)が延々と続いています。

氷河が削剥して運んだ堆積物で覆われたこのあたりでは、森林の土壌といっても浅くて岩だらけ、巨礫だらけです。北極圏でありながら、大西洋を北上する暖流の影響でしょう、降水量も700mm前後あり、厳冬期もせいぜいマイナス30度という「暖かい」気候のため、同じ緯度の他地域と比べると樹高がダントツに大きくなっています。

フィンランドの南部や東部、そしてエストニアには、広大な泥炭湿地が広がっています。昔から泥炭採掘や排水堀切工事が行われているところに、天然のヨーロッパアカマツ林が成立しています。樹高も20mに達するような林の下は、今度は巨礫ではなく数mの厚みで堆積している泥炭です。