砕氷船ルイサンローランカナダ海盆チーム

LSSLカナダ海盆へ(2013.8.7)

現在地:北極海カナダ海盆域(北緯74度00分、西経139度55分)
チームメンバー:田中康弘(北見工業大学)、佐川玄輝(株式会社ウェザーニューズ)

クグルクツクの空港にて、帰路に着く中野(手前)・舘山(後ろで手を振っている人)を見送る。おつかれさまでした。

砕氷船ルイサンローラン(LSSL)は、カナダ多島海に面するイヌイットの村、クグルクツクの沖合(北緯67度50分、西経115度08分)に錨泊し、そこで観測メンバーの交代を行いました。ここからは、舘山・中野に代わって、北見工業大学の田中と、ウェザーニューズの佐川が観測リポートをお届けします。

8月3日〜8月7日

船首甲板にて、短波・長波放射計を準備する田中(左)。右は何かと手伝ってくれているワシントン大のJudy Twedt。

沈まぬ太陽と、オレンジに染まる氷海。

クグルクツク沖で観測装置の取り付けをほぼ済ませ、船は北極海カナダ海盆に向けて再び動き出しました。出港直後から周りには海氷がぽつぽつ見え始め、二日後には本格的に多年氷域に突入しました。昨年の同時期の観測ではこのあたりに海氷はほとんど無かったはずですが、今年はまだ広い範囲に海氷が残っているようです。中には、高さ4~5メートルはあろうかと思われる海氷の山も見られました。船はそうした大きな海氷を巧みな操船で回避しつつ、ゴリゴリと氷の海を進んでいます。

これからカナダ海盆域で私たちは、北西航路区間から実施してきた海氷厚さやマイクロ波放射の計測を引き継ぎ、加えて新たに海氷域の短波・長波放射の計測を行います。また、カメラを各所に追加設置し、船の前に広がる海氷や、船に割られてひっくり返る海氷(厚みを測るため)、空に広がる雲の様子を記録します。

これらの観測で、私たちが実態を探ろうとしているものの一つは、メルトポンドと呼ばれる、融解した海氷の上にできる水たまりです。これがあるかないかで大気と海洋の間でやりとりされる熱量が大きく違ってくるので、地球温暖化の予測にも関わる重要なパラメータです。これらと平行して、海の水温・塩分の観測と海氷の目視観測も24時間体制で行わなければなりません。二人とも不慣れな船内生活を送りながら、あと一ヶ月弱の観測航海をそれなりに忙しく過ごすことになりそうです。