南北両極域の南極氷床とグリーンランド氷床を載せる大陸は、長い地球史を通じて形成された基盤岩からなる。それらは氷床縁辺部に露岩として顔を出している。露岩域には氷床の消長を記録する地形や堆積物が存在する。両極域の大陸では氷床に覆われていることによる特有の地球物理学的現象が観測される。南極氷床からは太陽系創世期の情報を提供する隕石が採集される。このような事象・現象を研究対象として、宇宙史や、地球の誕生から今日までの地殻進化変動史、氷床の消長に伴う地殻変動や海面変動という環境変動を解明すべく研究を進めている。
 固体地球物理学【Geophysics】
 昭和基地では、各種の測地・固体地球物理観測が、長期継続して実施されている。地震、重力、地磁気、潮位などで、30年にわたるものもある。近年は地電流、GPS 、VLBI 観測なども行われている。どの項目をとっても昭和基地は南半球高緯度の観測空白域を埋める貴重な観測点である。特筆すべきは昭和基地の良好な立地条件で、堆積層がなく安定した岩盤上にあるので、宇宙技術を用いた高精度測地観測により、地球環境変動に起因する微小な位置変動、重力変動を検出することができる。これらの精密観測はまた、航空機、船、衛星観測により得られる広域固体地球物理データの地上検証データとして活用される。
 
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▲昭和基地地震計室と大型アンテナレドーム
 地質学【Geology】

 1996 年から始まった東南極リソスフェアの構造と進化研究計画(SEAL 計画)の一環として、エンダービーランドの太古代ナピア岩体の地質調査が進行中である。この計画では、ナピア岩体やその周辺岩体の地質学的・岩石学的・地球化学的研究を通じて、太古代から古生代にわたる大陸地殻の形成発達過程の解明を目指している。この研究は、ゴンドワナ大陸を形成していたスリランカや南アフリカなどの地域での国際学術研究とも密接に関連している。

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▲エンダービーランド、トナー島での地質調査
 地形学【Geomorphology】

 南極の山地や沿岸露岩と大陸棚の地形を調べるとともに、そこに分布する堆積物や化石の種類と年代を調べて、南極氷床の発達と変動、南極大陸の地殻変動や世界的な海水準変動の歴史を明らかにすることを目指している。また、極域の周氷河環境下における表層物質の風化・移動・集積メカニズムを明らかにするための実験的研究も行っている。これからの研究テーマは、地球規模の環境変遷の研究と密接に関連している。

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▲リュツォ・ホルム湾沿岸、隆起海浜のトレンチ調査
 古地磁気学【Paleomagnetism】
 岩石の持つ自然残留磁気から南極大陸を中心とした諸大陸の形成と進化の様子を調べる。特に昭和基地のあるクイーンモードランドと南極最古の地殻であるナピア岩体の古地磁気学的・岩石磁気学的研究を中心に行っている。また、これらの地域と密接な関係にあったと考えられているインドやアフリカの岩石についても同様の研究を行っている。南極で発見された隕石の岩石磁気学的研究も行い、隕石が形成した時の原始太陽系の磁場環境についても調べている。さらに測定データの信頼性を上げるため、岩石の物性的な研究と磁気測定装置の研究開発も行っている。 ▲エンジンドリルでの古地磁気学用試料採集