ArCS 北極域研究推進プロジェクト

成果報告

平成28年度成果

AC等北極関連会合への専門家の派遣

実施責任者:榎本 浩之(国立極地研究所)

概要
  • 平成28年度は10の会合に合計12回、延べ15人の専門家を派遣。
  • 北極の環境に対して基幹となる会合であり、継続的な連携を進めているAMAPとCAFF会合に加え、米国議長国の期間に新たな体制の設立を目指して急がれたSCTFの最終段階の議論への参加、また、エキスパートグループとして日本の目立った貢献となっているEGBCM、さらにCAFFのエキスパート会合であるCBirdへの派遣を行った。
  • 新たにPAMEとSDWGに参加。PAMEでは、北極海の海洋保護区(MPA)についての議論の方向を見る上で新たな情報が得られた。SDWGでは、いろいろなワーキンググループの検討結果がSustainable Developmentにどう活用されていくのか知ることが出来た。
  • 産業・社会との関連を考える上ではArctic Circle、 Arctic Frontiers参加が有効であった。また日本の活動について国際会議においてその考えと具体的な取り組みとをアピールすることが出来ている。科学分野の動向把握と意見交換に関してはASSWの機会を利用した。
  • 派遣者からの参加報告は逐次関係省庁へ連絡し、ArCS研究者内での情報共有も行っている。

AMAP (Arctic Monitoring and Assessment Programme)
CAFF (Conservation of Arctic Flora and Fauna)
SCTF (Science Cooperation Task Force)
EGBCM (Expert Group on Black Carbon and Methane)
CBird (Circumpolar seabird Expert Group)
PAME (Protection of Arctic Marine Environment)
SDWG (Sustainable Development Working Group)
ASSW (Arctic Science Summit Week)

EGBCM(Expert Group on Black Carbon and Methane)

2016年1月に続き、2016年6月、10月の2回会合に参加。BC&メタンの今後の影響評価と排出削減の勧告を含む内容の報告書を取りまとめるための議論において、分析方法の問題点の指摘など、専門科学者の立場から課題解決に貢献した。報告書(Summary of Progress and Recommendations)は2017年3月のSAO、5月のMinisterial meetingで報告された。SAOではオブザーバーの貢献についても好意的なコメントが得られた。
(SAOにおけるディスカッションの要約より抜粋)
It was commended that so many observers had participated in the work of the EGBCM and other observers were encouraged to do likewise.

SDWG(Sustainable Development Working Group)

本年度から新たに参加したSDWG会合については、ArCSでの活動範囲や接点に関して、次のような所感が報告された。
SDWGで行われているのは気候変動への適応策であり、あまり日本の北極研究が得意としている分野ではない。しかし、適応策に関わるローカル・ガバナンスの研究は、日本でも異なる事例をもとに盛んに広く行われており、こうした先行研究と北極の議論を結び付けていくことは、日本の貢献の選択肢を増やすことに繋がると考えられる。