ArCS 北極域研究推進プロジェクト

成果報告

平成28年度成果

国際共同研究推進:テーマ3
北極気候に関わる大気物質

実施責任者:小池 真(国立極地研究所)

BC
  • 我々が開発してきた測定器COSMOSによるBC連続観測(ニーオルスン・バロー)。
  • 両観測地点のBCの長期観測データを、再評価。
  • 北極での正確なBC濃度を提供。
  • 北極BC観測グループ(アメリカNOAA、ストックホルム大学)と共同で論文を執筆(Sinha, et al., 2017)
  • AGU (アメリカ地球惑星科学連合)の Research Spotlight に選出
  • カナダのアラート、ロシアのバラノバとヤクーツクにおいても観測を開始予定
  • 「みらい」を用いたBC観測
    ・ベーリング海で高濃度BCイベントを観測。
    ・1000km以上離れたバイカル湖周辺のシベリア森林火災の影響。
    ・2014-2016年「みらい」北極航海におけるBCなどの観測データのモデル間相互比較
    ・領域モデルと流跡線解析とを組み合わせた森林火災エミッション検証

温室効果気体(トップダウン)
  • 地上基地・航空機・船舶を用いた系統的な広域大気観測
    ・大気サンプリング(週1回)と国内での分析
     2000年まで:CH4濃度上昇
     2000-2006年:濃度増加停滞
     ※石燃料起源CH4と微生物起源CH4両方の減少
     2007年以降:濃度再増加
     ※微生物起源CH4放出の増加
     ⇒ 全球のトレンドと整合的
温室効果気体(ボトムアップ)
  • アラスカ・クロトウヒ林のメタンフラックスと環境因子
    ⇒活動層内の地下水位が、メタン放出量を決める主要な環境因子である。

(a)降水量、(b)気温、(c)メタンフラックス、(d)融解深と水位の時間変化

メタンフラックスと活動層内の地下水位との関係
  • 凍土と植生動態の相互作用のモデル化
    ・東シベリアのカラマツ林帯を対象に、植生動態と凍土動態の相互作用を扱う統合モデルを完成
    ・予測される将来の気候変化の元における植生と環境変化を解析
     ( Sato et al., 2016) 2016/7/22 プレス発表