カナダ海盆係留系設置チーム① 観測便り

氷上観測(2012.8.26〜27)

現在地:北極海カナダ海盆(北緯80度51分、西経137度25分)

チームメンバー:小野純(極地研/東大院新領域)、平野大輔(極地研/東京海洋大)

写真1 LSSLからヘリコプターによる観測測器の輸送

8月26日(北緯80度51分、西経137度25分)と27日(北緯80度11分、西経129度46分)の2日間、本観測のメインの一つである氷上での観測が行われました。周囲の海氷密接度は8/10-9/10と高く、その大部分は多年氷でした。日本・米国・カナダ・イギリスの各チームは、ヘリコプターで数百メートル四方の大きな氷盤に移動して(写真1)、様々な観測を行いました。

写真2 氷上での電磁誘導式氷厚計を用いた氷厚測定

写真3 氷上でのCTD観測風景

海氷班(小野)は、電磁誘導式氷厚計を用いた氷厚測定、雪サンプリング、アルベド観測を行いました。写真2は、150mの測線に沿って2m間隔で氷厚を測定しているところです。厚いところでは2.7m、薄いところでは0.2mと、同じ氷盤でも場所によって氷厚は大きく異なっていることがわかりました。このような氷厚分布を数値モデルで表現できるのでしょうか?これは下船後の大きな課題の一つです。

また、海洋班(平野)は海氷に10インチの穴を3つ開け、CTD、ADCP、および水温計を用いて、海氷の運動とそれに伴う海氷下の流速、水温、塩分の鉛直構造の変化を捉えるための観測を実施しました。写真3は水温・塩分の鉛直プロファイルの観測を行っている様子です。海氷直下から水深約50mまでの水温・塩分の鉛直プロファイルを約20分間隔で取得しました。観測を行えた時間には制約があり、クリアな結果を得るにはまだまだ十分であるとは言えませんが、劇的な海氷減少が起こっている今年、このように実際に現場でデータを取得できたことは大きな収穫です。

気象情報

天気 曇り時々晴れ時々雨(6〜18時)