2010年1月22日、生物観測チームは昭和基地から50km南のスカルブスネスという露岩にある湖で水中ビデオ装置の設置と生物試料を採集するため、潜水観測を実施しました。ビデオ装置は一年間にわたり毎日一回の映像を記録し、水中に繁茂しているコケと藻類が形作る突起状の生き物の成長を捉えようとするものです。調査した湖底の水深2m〜5m付近一帯には、この地域のほかの湖沼でも見つかっている「コケ坊主」とよばれるコケと藻類が作る高さ50cm以上に達する円柱ー円錐状の集合体が林立していました。湖底の生物群集は深部になるとコケ坊主に代わって柔らかな藻類の5〜15cmほどの筍状の突起からなる草原のようにもみえる生き物に移り変わっていました。
潜水観測は南極に出かける以前から、潜水を実施する生物観測隊員とそれを陸上やボート上から支援する隊員で事前訓練を行なって準備し、実現したものです。天候にも恵まれ、観測に携わった隊員のチームワークが存分に発揮されたおかげで、とてもスムーズにビデオ装置二台が設置されました。この装置は生き物のどのような成長の実態を捉えてくれるのでしょう。一年後の回収が楽しみです。
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